新宿の顧問弁護士なら弁護士法人岡本(岡本政明法律事務所)
当事務所では、上場企業(東証プライム)からベンチャー企業まで広範囲、かつ、様々な業種の顧問業務をメインとしつつ、様々な事件に対応しております。
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粉飾事件の何が複雑か
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- 株主総会
- 粉飾事件の紹介が遅くなりました。
粉飾とは何かというところから始めましょう。
粉飾とは、不正な会計処理によって、故意に貸借対照表や損益決算書等を操作して、企業の財務状況や経営状況を実際よりも良く見せる操作を言うとされています。帳簿上の資産を増やすことが簡単な粉飾ですが、資産項目といっても種々ありますし、これらを説明していては面白い話になりません。例の東芝は、種々の資産項目をいじりました。特に、買収したアメリカの原子力会社「のれん代」を劇的に増加させたことは有名です。そもそも、東芝が粉飾に走る契機になったのは、バイセル取引と言われております。自分が発注する受託製造業者に原材料を高く売るなどの操作をしたとされます。
粉飾の実態が暴露されると上場企業の社会的信用は失墜し、株価も暴落します。社会が許すわけもありませんが、そもそも犯罪になります。通常、実行行為者が特別背任罪になることも常識の範疇です。 - 最初の大型粉飾事件に遭遇することになったのは、野沢社長が号泣して記者会見した天下の「山一證券」です。私は、会社の顧問弁護士としてではなく、第三者的な立場で調査をすることになりました。
20年経過しておりますが、私が受任した事件の内容は述べられません。その詳細を書きますと、関係者に不快に思われるのは嫌だからです。しかし、20年前、私が、実態調査のために、山一証券の本社に行ったことは昨日のように覚えています。茅場町の先、雪の積もった霊岸橋 を渡った際の記憶があまりにも鮮明なのです。山一證券は、当時、四大証券会社の一社と言われておりましたが、粉飾事件等で揺れる本社では何の威厳もなく、会社の顧問弁護士に同情したほどです。つまり、寄り添うべき依頼者によって、自分の立場が全く違ってしまうという認識を痛いほど感じました。
前回のコラムでもご紹介しましたが、粉飾と私との関わりは、会社の利益と相反する可能性のある相談、つまり粉飾を実行した従業員周辺からの相談から始まりました。会社のためを思いながらも、会社利益と鋭く対立する場面が必ず出てまいります。 - その後、外部委員として粉飾に関与する経験もしました。殆どが顧問先の粉飾で、数年前には、会社再建委員という外部委員に任命されたこともあります(近時、税務署からこの外部委員の説明を求められ、驚きました)。
経験して分かったことは、純粋な第三者委員会の委員は自分に向いていないということです。第三者委員会の委員と言えば聞こえはいいのですが、職人のように調べまくるのが中心的な作業で、現実に向き合う人がいないのです。検事のように強制調査権がある訳でもなく、しかも社会正義というのも中途半端です。想像される以上に地味な仕事です。 - 監査役の立場での経験もありますが、感想は複雑です。今流行りの「忖度」も分かりますが、それ以上に監査役の責任は難しい。私は、現在上場企業の監査役を複数勤めておりますが、現場で隠そうとして意図的に行っている粉飾を見つけることは本当に困難です。こんな事件でも役員に対する非難は浴びせられ、法的問題に発展するのです。
監査役では、楽しい経験もしております。30年以上前、ある弁護士先生に大変お世話になりましたが、10数年前、上場企業の監査役までご紹介いただくほど可愛がっていただいております。この監査役は今も続いており、毎年、顧問弁護士である先生と株主総会の仕事を一緒にやらせていただいております。こんな嬉しいことはありません。 - 粉飾事件の責任の根は、何処にあるのか考えてみましょう。
この問題は、本など読んで研究していただかなくとも、容易に想像できることです。オリンパス事件を書いたドキュメント「ザ・粉食(粉飾に群がる闇の人々)」(山口義正著 講談社 α文庫)や「東芝粉飾の原点(内部告発が暴いた闇)」(小笠原啓著 日経BP社)など著名な 粉飾ドキュメントを読みますと、会社経営者が自ら粉飾に走っている実態が暴かれています。
両ドキュメントでは、奇しくも内部告発で粉飾が暴かれていくのですが、そもそも内部告発者がいないと粉飾の事実はなかなか判明しないことも証明しております。
でも、両者の社長が、自らの名誉のためだけで粉飾に走るのは想像を越えます。通常は、地位だけでなく、お金や複雑な要因が絡まって行われるものです。第三者委員会の報告書や近時特集された日経新聞の記事からしても間違いがないようですが・・。この社長の弁護をさせられる弁護士にも寄り添いがなければなりません。この場合の業務は、会社に対する責任、株主に対する責任などの民事責任だけにはとどまりません。会社の顧問と違った立場での弁護活動が要求されています。 - 粉飾を発見することは本当に難しいと思います。公認会計士である井端和男先生が書かれている有名な専門書「最近の粉飾―その実態と発見法」によっても、その難しさはよく分かります。特に、「極地型」と言う言葉で書かれている子会社や関連会社を使った粉飾、或いは本社から遠く離れた支店等の出先機関になると、粉飾の実態が暴露されるまでに相当な時間を要することは必然です。
- 最後に、粉飾の防止策ですが、顧問弁護士の仕事として重要です。
先ずコンプライアンス研修等を工夫し、会社のカルチャー造りが大切です。社員の自覚を高める工夫ですね。このような工夫を日々の業務に取り入れ、弁護士など専門家を外部相談窓口に選任することです。2006年4月に施工された公益通報者保護法を下地にした内部通報制度を工夫する必要もあります。残念ながらページが尽きました。
ご興味ある方はぜひお申し込みください。
有期契約労働者の無期転換に関する相談の激増
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宇宙開発事業の顧問弁護士は大変
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2. 当事務所にご相談いただいている案件数も非常に増えておりますが、その中でも元従業員(退職者)が競業行為を行っている或いは行いそうだという相談が非常に多くなっています。
そこで、近時において請求が認められた裁判例をご紹介することに致します。裁判所がどのような事案で会社勝訴の結論を取っているのかを知り、依頼者にとって有利になるように裁判例を使いこなすことこそが弁護士の能力の一つだと思いますし、当事務所が様々な依頼者から喜ばれている理由の一つともいえますので、是非ご参考にして下さい。
損害賠償請求
平成28年5月31日東京地裁判決
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295万
8798円
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元従業員は虚偽の事実を会社の仕入先に伝えていた。その上で、原告会社が購入するはずであった商品を元従業員の設立した会社で購入した行為について、不法行為であると判断した。
もっとも、会社が購入予約していなかった商品を元従業員の設立した会社で購入した行為については、不法行為を認めなかった。
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退職金返還請求
平成28年3月31日東京地裁判決
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1008万円
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同業他社に転職した場合は退職加算金を返還する旨の合意に違反した事案。転職が禁止される期間や同業他社の地域等に限定が付されていなかったが、退職加算金制度を利用するか否かは従業員の自由な判断に委ねられていること、従業員に対して同業他社に転職しない旨の義務を負わせるものではなく、従業員が同業他社に転職した場合の返還義務を定めているにすぎないこと等を理由に退職加算金の返還請求を認めた。
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退職金返還請求
平成28年1月15日東京地裁判決
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1157万
1805円
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会社が実施した早期退職制度に応募して退職した後に、在職中及び退職後の競業避止義務に違反して競業行為を行ったことが発覚した事案。優遇措置の存在などを理由に退職後の競業避止義務の有効性を認めるとともに、元従業員が主体となって行ったものではないとしても、他社の利益となる行為であること等を理由に競業避止義務違反を認めた。
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損害賠償請求
平成27年9月29日東京地裁判決
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263万
7150円
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会社在職中に知り合った技術者と共に、競業する事業を目的とする会社を設立したこと、元従業員は現場の責任者的な立場であったこと、会社の従業員に対して元従業員が設立した会社の名刺を渡すなど勧誘ともとれる行為をしていることなどを理由に雇用契約上の誠実義務違反を認めた。
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競業行為の差し止め等
損害賠償請求
平成27年3月12日大阪地裁判決
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競業行為の差し止め
992万
3145円
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退職後2年間の競業避止義務を定めている就業規則に違反することが認められた事案。
代償措置は講じられていないものの、半径2km以内に限定されていること(判決は、会社が学習塾であり、2kmを超えると小中学生にとって通塾に適さない程度の距離と思われることも判断理由の中に挙げている)、上記圏内であっても、競合他社において勤務することは禁じられていないこと等を理由に有効であると判断し、営業の差し止め及び損害賠償を認めた。
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損害賠償請求
平成27年2月12日東京地裁判決
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900万円
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元従業員が、会社の従業員又は顧問の地位にあったことを利用して集中的に顧客と接触を図り、“会社には不透明な決算がある、巨額な支払遅延の発生により会社の業務に不履行が生じた、従業員の多くが退職予定であり、以後の業務遂行には重大な懸念がある”こと等を内容とする説明を主導的に行っていること、顧客の担当者(会社の現従業員)と協力して上記説明を行っていること等を理由に、不法行為を認めた。
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損害賠償請求
平成25年11月14日東京地裁判決
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24万
0874円
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元従業員が退職する際に、元従業員が使用していたパソコンやサーバーに入っていた“元従業員らが作成したデータ”を消去したことについて不法行為を認めた。
元従業員は、在職中に競業会社を設立しているが、この行為について、競業避止義務違反は認められなかった。
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損害賠償請求
平成24年6月11日東京地裁判決
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8万0401円
(その他に会社の所有物であるフォームの使用料相当額として5000円)
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会社の就業規則上、退職後の競業避止義務について定めた条項が無かったにもかかわらず不法行為が認められた事案。
会社の印刷用フィルムを流用することにより、元従業員の設立した会社が業務を行うことが可能となったものであり、他社の所有する印刷用フィルムを無断で使用することを前提として、受注を勝ち取ったものとみることができることを理由に、不法行為を認めた。
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1. 依頼している弁護士に不安や不満を感じた場合、どうすれば良いでしょうか。
答えは簡単です。他の弁護士に聞いてみれば良いのです。いわゆるセカンドオピニオンです。
2. 当事務所では、これまでセカンドオピニオン業務を積極的には行ってきませんでした。他の弁護士の仕事を邪魔するようで「品が無い」ように感じていたからです。
もっとも、最近、セカンドオピニオンに関する相談が急増しております。当事務所において、他の弁護士が第1審で敗訴した事件を控訴審から受任して逆転勝訴したり、他の弁護士に敗訴すると言われた事件について勝訴したり、という事件も少なくなくなってきました。
3. このような相談が増えている理由は、弁護士が増加していることとも関係しているように思います。
収入が減少した弁護士が数多くの事件を抱えるようになった結果、一つの案件にかける時間が減少し、仕事が雑になっているのかもしれません。
あるいは、そもそも能力不足の弁護士が増えているのかもしれません。
4. セカンドオピニオンの相談にいらっしゃる方々は、口を揃えて、「こちらが主張してほしいことを主張してくれない。」「重要だと思っている話をしても、無関係だと言われて話を聞いてくれない。」等と仰います。
確かに、相談者のお話の中には、法律論から考えるとあまり意味のない話も少なくありません。そのような話を主張しても、裁判官の心証が悪くなるだけで、良いことは何もありません。
しかし、相談者の方々は、弁護士よりもよく「事実」を知っているのですから、重要な話をしていることも多いのです。
それにもかかわらず、相談者の方の話を法律論として主張する能力を弁護士が持ち合わせていなかったり、面倒臭がって証拠を収集しなかったりするので、敗訴してしまったり不利な形での和解になったりしてしまうのです。
5. 弁護士から、「書面はすっきりしている方が良い」と言われた場合は要注意です。
確かに、多忙な裁判官にこちらの主張を十分理解してもらうためには、すっきり分かりやすい論理で書面を書く必要があります。
そのため、すっきり分かりやすい論理の書面になっているかどうかは弁護士が最も気にすることの一つではあります。
しかし、「すっきり」ではなく、「スカスカ」では意味がないのです。
短いページで勝てるなら良いですが、短いページの書面で負けてしまったのでは、後悔が残るだけです。
6. セカンドオピニオンの相談を弁護士にする場合に注意すべきこともあります。
弁護士が他の弁護士の仕事を批判するのは簡単だということです。
極端なことを言えば、セカンドオピニオンの相談に来られる方々は今の弁護士に不安や不満を持っていらっしゃるわけですから、相談者の意見に同調すれば、相談者の方に気に入ってもらえます。
しかし、それでは、相談者の方の利益に適っていると言うことは到底できません。
今の手法が悪いわけではないにもかかわらず、弁護士に対する不安感だけを煽っても意味がありませんし、仮に裁判の途中で弁護士が変わることになった場合には、「依頼者がおかしなことを言っているから弁護士が途中で辞めたのかな」などと余計な推測を裁判官に行わせることになり、逆に相談者にとって不利益になり得るからです。
7. そのため、当事務所では、セカンドオピニオン業務が無責任な結果にならないよう、相談者の方に記録のコピーを一式用意して頂き、一通り読ませていただいた上で、具体的な相談をさせて頂くことにしています。
全く関与していない従前の記録を一式読むということは、弁護士にとって相当な業務量になり時間もかなりかかるので、弁護士としては大変なのですが、セカンドオピニオンに関する相談をお受けするにはやむを得ないことだと思っています。
状況次第ではお断りさせていただくこともありますが、依頼している弁護士に不安や不満を感じている方は、是非一度、当事務所にお問い合わせ頂けると幸いです。