新宿の顧問弁護士なら弁護士法人岡本(岡本政明法律事務所)

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コラム - 202206のエントリ

1.   明日の日本が高齢化社会になることは常識のようなことです。
でも「高齢化する我が国の明日」を書くことは、論点が多すぎます。読まれる方も何が書いてあるんだろうと不審に思われますよね。やはり弁護士として相談される内容に絞って書きましょう。
 私の友人達も私と一緒に年をとってきました。友人からの相談は、典型的には、やはり老人としての財産保全或いは遺言の相談が多いですね。今流行りの信託、「家族信託」などの質問も増えてきました。でも友人ですから、弁護士として質問されているのか、友人として質問されているのか分からないような内容のものも多々あります。投資や株の話をされると、さすがに「弁護士としては答えられない」と限定付けして会話をしております。

2.   感心した質問から紹介しましょう
 その一つは、アパート経営をする友達からの相談でした。
「老人に賃貸する場合に気を付けるべきこと」について聞かれたのです。このようなことは、間に立つ不動産屋さんに聞くべきことで、弁護士に聞く内容ではないとも思いましたが、でも感心しました。
 友人に「老人に貸すなんて偉いね」と、先ず驚いた事実を告げました。友人は「俺も老人になったからね。老人に貸さないアパート経営者が多いらしいが、困ったものだと思ってきたのだ」と自分の気持ちを率直にあかしてくれました。
 私からのアドバイスは、契約書の内容について詳細に規定するべき事項等に及びましたが、寧ろ、面倒を見てくれる人の存在や不動産屋や友人から定期連絡ができるのか等の質問をしました。そして何よりも重要なことは、地域社会の老人見廻り等の在り方についての質問になってしまいました。地域社会の高齢者に対する接し方が何より重要だとアドバイスしたことを記憶しております。

3.   私は、かつて「放棄できない不動産制度」を紹介して、その法制度の在り方を問題にしてきた弁護士です。当コラムでも何度も書いたテーマですので、皆様ご存じでしょう。
 このような経緯から、私は、相談される方の所有される不動産が山林など、価値のないものかどうかについて、すぐに心配してしまうのです。私の友人達には、先祖代々の不動産を持っている方も当然いますが、これまで具体的な相談は避けてきました。
 ところで、当コラムで問題にして以降、不動産の国庫帰属の方策が検討されてきたのです。
 その結果、「相続土地国庫帰属法」が、昨年成立しました(施行は令和5年です)。でも成立したばかりの「相続土地国庫帰属法」も随分条件が厳しいのです。しかも費用もかかるのですね。なかなか、山林などの相続財産を持て余している友人に対して喜ばれる回答はできないでしょう。でも友人には、この法律についての説明の電話はしてあげるつもりです。

4.   地方都市の農村で生活する叔母さんの相続について相談を受けたこともあります。
 相続財産の調査から話が始まりましたが、相談者は、叔母が生活されている自宅の写真を持ってきておられました。写真を見て驚きました。本当に立派な邸宅だったのです。しかし、相談者は一文にもならない家だとおっしゃるのです。
 私は、近くの町の不動産屋さんに行って査定をとるようにお願いしました。躊躇されていたので、私は「叔母の土地を売りたいけど値段が付くの」と聞くだけでもいいですよとアドバイスしました。近傍の不動産屋さんなら、不動産の査定がすぐできると経験上知っているからです。
 その他の財産調査は登記簿謄本等の資料だけでなく、借金等の調査が必要です。預金はないと仰っておりましたが、やはり調査をお願いしました。
 その結果、ある程度の財産があることが判明し、叔母さんに後見人を付けるのか、遺言書を作るのかという議論に進展しました。
 

5.   最近のネットを見てみますと、家族信託に関係した宣伝が相当数挙がってきます。
 平成19年施行された「信託法」により、高齢者の新たな財産管理方式ができたのです。相談される方も、遺言だけでなく、財産管理の方法(後見制度や信託制度)を理解されるために相談をされる人が増えたように感じます。確かに、制度の関係と自分の希望される状況に関して、どの制度を採用するのがいいのか疑問を持たれるのは当然だと思われます。
 これまでは禁治産制度は別にしましても、財産管理の方式として後見制度を理解されていればよかったのですが、財産信託の方法も増えて混乱されるのでしょうね。
 老人になり、自らの財産管理もこなし、遺言書の通りに人生を終えたいという方の相談は増えております。

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