新宿の顧問弁護士なら弁護士法人岡本(岡本政明法律事務所)

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コラム - 202112のエントリ

  1.   本年も年末を迎え、新聞報道も将来の「見通し」記事が多く掲載されるようになりました。報道を見なくとも、どんどんIT化する将来の制度変更は十分認識できます。しかも裁判制度も例外ではなく、我々弁護士もそれに対応しなければなりません。例えば、1216日付日経新聞の朝刊を見てみますと、3面に渡って、次のとおりの記事が掲載されています。
        4面見出し「全規制をデジタル前提に」、「対面・書面、原則認めず」
                 「政府が計画案」
        46面社会面「倒産手続き、IT化へ」、「政府計画案、23年度にも試行
                   離婚裁判なども検討」
        7Opinion面には、「バイデン『画面外交』の真贋」として、前大統領トランプと比較し、外交交渉でもオンラインを上手く使ったバイデンを持ち上げ、今後の外交交渉の難しさをコメントしています。
      コロナが蔓延し始めた1年以上前のことですが、コロナの影響で、裁判所の準備手続きが大変遅れたことがあります。私達弁護士は廊下で待っておりましたが、担当の裁判官が走り回っておられました。準備手続きに入って裁判官と対面した際、裁判官から、遅れた旨の謝罪がありました。当時、当事者の対面を避ける仕組みづくりのために打ち合わせをしておられたようです。その後、準備手続きが電話会議になるなど、相手の弁護士との対面も随分減少しました。
  2.   裁判関係でのIT化は、コロナが原因だと思っておられませんか?でもそれは「きっかけ」でしかなく、根本的には、裁判手続のIT化は、200411月、民事訴訟法の改正として宣言されているのです。
      当時は、それほど驚きませんでした。我が国のデジタル化が先進国のなかでも遅れていると聞いて、「そんなことはないよね」と考えておりました。私は、丁度20年ほど前、先進的と言われる国の裁判制度の視察のため、かなりの数の国を回っておりました。IT先進国と言われる国も回りましたが、それ程我が国の裁判制度が遅れているようには見えませんでした。差が出たとするなら、最近の僅か10年弱のことで、世界の「IT化」が、急激に進んだのでしょう。
      皆様、あまり必要のない民事訴訟法の条文など、目を通されないでしょうから、条文を紹介しましょう。
         第7章 「電子情報処理組織による申し立て等」

         第132条の10 第1項(読みやすく手を入れます)
       「民事訴訟に関する手続における申立てその他申述のうち、当該申立て等に関するこの法律、その他の法令の規定により書面等をもってするものとされているものであって、最高裁判所の定める裁判所に対してするものについては、当該法令の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところにより、電子情報処理組織を用いてすることができる。」
      電子情報処理組織とは、電子計算機を意味しているらしく、電気通信回線で接続した電子情報処理組織を言うと、かっこ書きで規定されております。
     ところで、「残念」というのでしょうか?
      電子情報処理組織に関する最高裁判所規則がまだ定められていないのです。10数年間の放置状態ですから、裁判所のIT化は、いまだ実現されないまま放置されているのです。
  3.   今回のコロナ騒動で、裁判所のIT化は、一挙に進展するのでしょうね。進行状況に関する情報については、次の通りのようです。
      つまり、20233月を目途にして、非公開手続きでの「主張書面や書証の写しの提出をオンラインでやり取りする」。20243月を目途に、上記の手続きを公開法廷で運用開始する。
      20263月を目途に、主張書面や書証の写しの提出を含め、裁判関係文書をオンラインで随時確認できるようにする。そして同時期に、訴訟記録や事件情報を電子的に管理し、訴訟当事者や代理人等がオンラインでやり取りする。
      ここまで電子化が進みますと、私の事務所も大変です。
      先ず、事件記録の保存方法が変わります。現在事件記録は、数年間現物保存することにし、その後、段ボール箱に詰めて貸倉庫等を含め合計約10年弱、保存することにしております。
      ところが、今回の改革は、有形物の保存が中心ではなく、電子記録の保存が中心になります。昔の記録が必要の場合、閲覧は電子記録になりますから、数年保存も容易で(場所をとりません)簡単に保存できます。でも電子記録の保存方法など決めることは多数あります。秘密保持もあり、取り出し方法等も決めねばなりません。
      事務所の在り様も大変革にもなりますが、裁判所の記録管理の様式も大変革になります。記録の閲覧を幾度もした私には、裁判所の裏方の苦労も分かります。
      当事務所は、裁判所の記録管理の方式等も参考にさせていただき、当事務所の記録保存の在り方を検討することになります。
  4.   昨年は、私が役員をしている会社でも、役員会がウエブ会議によって行われました。役員各人の顔も見られるのですが、何か物足りませんでした。しかも株主総会までウエブで行われると・・(違和感が強かったですね)。
      でもIT化は、時代の要求になっているのでしょうね。何処からでも参加できますし、余計な時間や経費もかかりません。
      いいことも一杯あるのです。

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