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コラム - 201906のエントリ

一 2020(令和2)年4月1日、制定以来約120年ぶりに、民法が改正されます。
 民法改正の内容は極めて広範に及ぶため、早急に対応を検討するとともに、契約書を見直して修正すること等が必要です。
 本コラムでは、契約書の修正や債権の管理等に役立つ「消滅時効」「債権譲渡」に関する改正内容を、説明させていただきます。

二 まず、消滅時効に関し、短期の消滅時効制度が廃止されるなど、時効期間が大きく変わりました。
 具体的には、権利を行使することができる時から10年で消滅するという時効期間は維持しつつ、権利を行使することができることを「知った時」から5年という時効期間を追加しました。
 また、不法行為に基づく損害賠償請求権については、損害及び加害者を知った時から3年、不法行為の時(=権利を行使することができる時)から20年で消滅するという従前の規定のままですが(従来は除斥期間だったものが、消滅時効に改正されました)、生命・身体の侵害による損害賠償請求権については、知った時から5年、権利を行使することができる時から20年で時効消滅しますので、注意が必要です。
 さらに、時効の完成猶予と更新という制度に再構成されました。
 例えば、債務者が債権者に対して債務を「承認」すれば、経過した時効期間がリセットされ、直ちに新たな時効期間が進行することになりました。また、債権者による裁判上の請求(訴えの提起)などがあれば、時効期間がリセットされ、裁判の確定等により新たな時効期間が進行することになりました。
 時効が完成しそうな場合には、権利について協議を行う旨の合意を書面又は電磁的記録で行えば、時効の完成が猶予されることになった点、天災等による時効の完成猶予期間が3カ月間に伸長された点も特徴的です。
 実務上重要な改正点としては、連帯保証人(連帯債務者)の一人に履行の請求を行っても、主債務者(他の連帯債務者)に対して効力を及ぼさないことになりましたので、今後は、契約書にしっかりと、効力を及ぼす旨を明記する必要があります。

三 債権譲渡につきましても、譲渡制限特約(譲渡禁止特約)などの規定が大幅に改正されました。
 具体的には、改正前は譲渡制限特約が付いている債権の譲渡は原則無効とされていましたが、改正後は、原則として譲渡制限特約が付いている債権の譲渡が有効となりました(預貯金債権を除く)。
 また、債務者は、悪意重過失の譲受人に対しては支払を拒絶し、譲渡人(元の債権者)に対する弁済等をすれば、譲受人に対抗することができる(免責される)ことになりました。
 その一方で、譲受人の保護をするため、債務者が譲受人から履行の催告を受け、相当の期間内に履行をしないときは、債務者は、譲受人に対して履行をしなければならないことになりました。
 譲渡制限特約のついた債権が譲渡されたとき、債務者は、供託することができるようになったとともに、譲渡人が破産したときは、譲受人は、債務者に債権の全額に相当する金銭を供託するよう請求することができる(譲渡人への弁済は、譲受人に対抗できない)ことになりました。
 このような改正の結果、債権譲渡制限特約が付いている債権を譲渡しても契約違反(債務不履行)とはなりませんので、債権譲渡による資金調達をすることが見込まれるようになりました。
 また、将来債権の譲渡が有効であることが明記されました。
 将来債権が譲渡され、債務者対抗要件を具備した後に譲渡制限特約が締結された場合には、債務者は譲渡制限特約を譲受人に対抗することができないことなども規定されました。

四 以上の通り、消滅時効及び債権譲渡に関する規定が大幅に改正されたことがお分かりのことと思います。
 そのため、早急に、皆様がお使いの今までの契約書を見直し、修正する必要があります。
 また、債権管理に関する取扱いについて、弁護士と相談しながら再検討する事項が多数存在することもご理解頂けたと思います。
 当事務所において顧問契約(月5万円)を締結して頂いている場合には、そのような対応について、別途費用を1円も頂かずに顧問契約の範囲内で対応しております(契約書の「作成」については、量によって例外もあります)。
 これを機に顧問契約の締結も含めてご検討いただけると幸いです。
                                        以 上

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一 2020(令和2)年4月1日、制定以来約120年ぶりに、民法が改正されます。
 民法改正の内容は極めて広範に及ぶため、早急に対応を検討するとともに、契約書を見直して修正すること等が必要です。
 特に「保証」に関する条項が大幅に変わりましたので、本コラムでは、契約書の修正等に役立つ「保証」に関する改正内容を、説明させていただきます。

二 まず、個人根保証について極度額を設定しなければならないことになりました。
 こう言うと非常に分かりづらいと思いますが、具体例としては、①賃貸借契約に基づいて賃借人が負担する債務の一切を個人が保証する保証契約、②代理店等を含めた取引先企業の代表者との間で損害賠償債務や取引債務等を保証する保証契約、③介護、医療等の施設への入居者の負う各種債務を保証する保証契約等において、極度額(担保することができる債権の上限)を設定しなければならなくなりました。
 御社が賃貸借契約の保証契約を締結する際、極度額を定めていたというようなことは殆ど無いと思いますので、今すぐに対応する必要があります。
 このような場合、前回のコラムでも記載しましたが、「極度額は賃料の3ヶ月分」というような記載だけでは保証が無効になりかねませんので注意が必要です。

三 次に、「事業」のために負担した「貸金等債務」を主たる債務とする保証契約は、契約締結前1ヶ月以内に作成された公正証書で、保証債務を履行する意思を表示する必要があります(保証意思宣明公正証書)。
 具体的には、保証人本人が出頭し、公証人による保証意思の確認がなされるなど厳格な手続が取られることになります。保証意思宣明公正証書は、保証契約とは別になりますので、それ自体に執行認諾文言を付けることはできません。
 もっとも、主債務者が法人の場合に取締役等を保証人とする場合、或いは、主債務者が個人の場合で「主債務者が行う事業に現に従事している主債務者の配偶者」等を保証人とする場合は、保証意思宣明公正証書を作成する必要がありませんので、注意が必要です。
 また、監査役、監事、評議員、執行役員(従業員)、書類上事業に従事していることになっているだけの配偶者、事実婚の配偶者などを保証人とする場合についても、保証意思宣明公正証書を作成する必要がありません。

四 また、主債務者は、「事業」のために負担する債務を主たる債務とする保証等の委託をするときは、保証人に対し、①財産及び収支の状況、②主債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況、③主債務の担保として提供するものの内容等に関する情報を提供しなければならなくなりました。
 この義務は、「貸金等債務」には限られず、事業に関する債務であれば履行する必要がありますので、注意が必要です。
 そのため、御社が、事業に関する保証契約を締結してもらっている場合、今すぐ対応する必要があります。
 そして、この義務に違反した場合、保証人は、債権者の悪意・有過失等の要件を満たせば、保証契約を取り消すことができます。
 債権者とすれば、自らが直接関与していない主債務者の義務違反によって保証契約が取り消されることにもなりかねませんので、注意する必要性が非常に高いと思われます。
 民法改正後、事業に関する保証契約を締結したいと考える債権者の方は、弁護士に相談しながら、保証契約が取り消されないようにしておく必要があります。

五 債権者は、主債務者から委託を受けた保証人(法人も含む)から請求があったときは、主債務の元本、利息及び違約金等に関する①不履行の有無(弁済を怠っているかどうか)、②残額、③残額のうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならなくなりました。
 この点についても、実務上非常に重要であり、今すぐ対応する必要が高いです。
 御社が、この情報提供義務をどのようにして履行していくのかについて、弁護士と相談しながら検討しておく必要があります。

六 主債務者が期限の利益を喪失したときは、債権者は、保証人(法人は除く)に対し、その喪失を知った時から2か月以内に、その旨を通知しなければならなくなりました。
 仮に2か月以内に通知をしなかったときは、債権者は、期限の利益を 喪失した時からその後に通知を現にするまでに生じた遅延損害金については、保証債務の履行を請求することができません。

七 さらに、民法改正前は、連帯保証人について生じた事由が主債務者に効力が及ぼすこと(絶対的効力)とされていた事由のうち、「請求」等については、主債務者に効力を及ぼさないことになりました。
 要するに、民法改正後は、連帯保証人に請求をしても、主債務者に対して請求をしたことにはなりません。
 そのため、契約書等を修正して、連帯保証人に対する請求が主債務者にも効力を及ぼすように規定しておく必要があります。

八 以上の通り、保証に関する規定が大幅に改正されたことがお分かりのことと思います。
 そのため、早急に、皆様がお使いの今までの契約書を見直し、修正する必要があります。
 また、保証に関する取扱いについて、弁護士と相談しながら再検討する事項が多数存在することもご理解頂けたと思います。
 当事務所において顧問契約(月5万円)を締結して頂いている場合には、そのような対応について、別途費用を1円も頂かずに顧問契約の範囲内で対応しております(契約書の「作成」については、量によって例外もあります)。
 これを機に顧問契約の締結も含めてご検討いただけると幸いです。
                                        以 上

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