新宿の顧問弁護士なら弁護士法人岡本(岡本政明法律事務所)

当事務所では、上場企業(東証プライム)からベンチャー企業まで広範囲、かつ、様々な業種の顧問業務をメインとしつつ、様々な事件に対応しております。

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コラム - 201801のエントリ

1. 前回のコラムの終わりに、次回は「粉飾決算」を題材にして事件の複雑な側面を紹介し、会社事件が弁護士の優劣を判断する側面も出てくることを書きたいと思って結びました。
しかし、有期労働契約者が無期の労働契約に転換することに関し、昨年末より突然、多数の相談を受けるようになりました。本年4月より適用される予定の、有期契約労働者による「期間の定めのない無期契約」への転換申し込み労働者が出てくることに対する相談です。
平成24年、法改正によって労働契約法第18条が新設されました。有期契約の労働者が、本年4月1日には、5年間ルールの適用により期間の定めのない労働契約に変じることを心配されての相談であります。その期限が迫っておりますので、最近お受けするご相談等を紹介し、今回のコラムで取り上げさせていただきます。
 
2. ご相談の内容は、多種多様であります。
   去年の相談の多くは、有期契約者にはパートタイマーの女性も入りますか?というような法律の入口の相談が多かったのです。
   それが、短時間労働者が正社員と同じ労働条件になってしまうのですか?というように、多少契約の内容に踏み込んだ質問に変化し、最近は、正社員と比較した上での、無期労働者に変化した際の労働条件の内容に関する相談に変わってきました。  しかも今年になってからは更に踏み込んだ相談になっております。無期契約の社員になってもらってもいいが、では正社員と同じ定年の適用はあるのか、従来予定になかった配置転換はできるのかというように具体的な相談になり、就業規則の新設に発展した相談も出てきております。
   そして急成長をしている上場企業からは、まさしく事業譲渡を受ける際のM&Aの相談を受けました。M&Aとは、企業の合併・買収に関係する相談で、弁護士にとっては「高値の花」の相談のように思われております(当事務所は報酬形態がタイムチャージ制度ではありませんので、それ程ありがたくもありませんが・・)。つまり事業譲渡を受ける際に、有期契約労働者に対する使用者の地位に関する相談で、労働契約法第18条を回避したいという相談です(回答自体はそんなに難しくもありません)。
   煮詰まった質問がくるようになってきたという感想です。
 
3. 就業規則の変更・新設や労働組合との協議等によって解決させるかどうかに限らず、事前に準備することは非常に多いのです。しかも有期契約社員の種類もびっくりするほどあります。しかも、会社によって当該種々の社員の必要性も様々であり、一律の解決案は出せません。
でも、放置状態のまま推移するなら、本年3月、或は4月になって、有期契約の更新自体をしないと決意する会社や、事前に有期契約社員を解雇する会社が頻出することは明白であります。有期契約社員が、景気調節弁の役割を担っている場合、或は低賃金での労働条件となっている場合に、上記結論を採用せざるをえないなら、いずれ訴訟になって敗訴する可能性は高いと言えるでしょう。その際、会社の損失は計り知れないものになると推測されます。
このような泥沼状況を回避するためにも、有期契約の更新拒絶が否定された有名な東芝柳町工場事件を紹介しておきます。昭和49年のずいぶん昔の判決ですが、労働法の勉強をする者にとっては常識に属する事件であります。すなわち「雇用期間2カ月の労働契約が五回乃至二三回にわたって更新を重ねた場合、実質上期間の定めのない契約が存在し、その雇止めは解雇の意思表示に当たるというべく、経済事情の変動等特段の事情の存しない限り、期間満了を理由に雇止めをすることは、信義則上許されない」とされております。労働契約法第19条は、有期労働契約の更新について更に厳格に規定しました。上記判例は古いのです。
会社経営者の皆様には、もっと根本的な問題を指摘しておきましょう。今回取り上げた労働契約法第18条の無期転換ルールと共に規定された第20条ですが、その条文は「期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止」と名付けられております。条文の引用は煩瑣ですから要約しますが、要は、期間の定めのある労働者と正規の社員との労働条件に関し、それら社員の間で不合理な労働条件の相違を認めないというものです。短時間労働社員やパートタイマーなどと名付けされた御社の契約社員に対する労働条件を、正規社員のそれと比較してください。
 
4. 労働の現場が大きく舵を切って変わろうとしていることは、新聞等でも報じられております。その典型は、安倍総理大臣の「働き方改革実現会議」でもあります。働き方改革の主要なテーマは、『同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善』なのです。
労働人口の減少、高齢者や女性の働き方改革、或は外国人労働者、人件費の高騰等切り込み口は多種多様ですが、労働の現場で経営者と共に悩む我が事務所においても、『働き方改革実行計画』に負けないタイムスケジュールをもって会社、否、社会に貢献することが明日への希望であります。
当事務所は、経営者の方から残業代請求事件や雇用に関係する事件を多数任されてきました。更に、当事務所は、副所長が中心となって、社会保険労務士の先生ともタッグを組んでゼミや合同法律相談に取り組んでおります。社員の種類が数種類以上もある会社では、日常的なフォローなくして将来成長を続ける会社たり得ないと判断し、専門家チームを作って会社を支援しております。
未経験の、このターニングポイントを乗り越え、社員のやる気を十分に引き出す会社になっていただき、共に成長いたしましょう。

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1.  平成28年12月に下請法(正確には「下請代金支払遅延等防止法」)の運用基準が改正されてから既に1年が経過しますが、まだ浸透しきっているとは言えないようです。
   大きな会社(親事業者)からも中小企業(下請事業者)からも様々なご相談があります。
   そこで、本コラムにおいては、下請法について説明したいと思います。
 
2.  下請法は、独占禁止法を補完する法律と言われています。
   もともと優越的な地位を濫用する行為を取り締まっている独占禁止法という法律がありますが、独占禁止法は様々な事情を総合的に考慮して違法かどうかを判断することになるため、判断が容易ではありません。
そこで、親事業者と下請事業者の資本金を形式的に比較し、下記表のような状況にある場合には、下請法が適用されることとし、いわゆる「下請けいじめ」を迅速かつ効率的に取り締まれるようにしたものが下請法です。
 
3.  平成28年12月に下請法の運用基準が改正された理由は、アベノミクスです。“アベノミクスによって一定の恩恵を受けたのは大企業だけで、中小企業は恩恵を受けていない”という批判を受け、中小企業(下請事業者)を保護することにしたわけです。
   そのため、改正内容は、中小企業(下請事業者)に有利な内容が多く、大きな会社(親事業者)が今までの現場のやり方を続けていると、違法として処罰される事柄も多くなっています(公正取引委員会のホームページに会社名と勧告内容が公表されることもあります)。
   具体的には、例えば、大きな会社(親事業者)が自らのコスト削減目標を達成するため、中小企業(下請事業者)の言い分をしっかり聞かずに下請代金を定めた場合、違法になります。
   中小企業(下請事業者)から大きな会社(親事業者)に対して、原材料や労務費などのコスト高騰による単価の引き上げの要請があったにもかかわらず、十分な協議をせずに単価を据え置いた場合も違法になります。
   また、下請事業者に製造を委託している品物について、量産が終了し、補給品としてわずかに発注するだけで発注数量が大幅に減少しているにもかかわらず、一方的に、大量発注時の低い単価のままにしている場合も違法です。
要するに、下請法の運用基準を改正することによって、大きな会社(親事業者)が一方的に価格を決定している現状を見直したい、及び、大きな会社(親事業者)のコストを中小企業(下請事業者)に押し付けている現状を見直したいしたいという国の考えを理解して頂けると思います。
その他にも、国は、支払条件を改善したいとも考えています。下請法の運用基準と同時に「振興基準」というものも改正されているのですが、その中には、手形サイトは120日(繊維業においては90日)を超えてはならないことは当然として、将来的に60日以内とするよう努める、とされています。
振興基準独自の内容については、今すぐできていないからと言って直ちに違法として処罰の対象になるわけではありませんが、注意が必要です。
 
4.  下請法の運用基準を改正することによって中小企業(下請事業者)の地位を向上させようという試みは、国策と言って良いものです。
大きな会社(親事業者)からすれば、「下請けいじめ」のレッテルを貼られて評判を落とすのは避けたいところです。とはいえ、中小企業(下請事業者)に問題があるにもかかわらず減額や返品ができないのでは困ってしまいます。下請法違反だという疑いをかけられないように適法に減額や返品を行うことは、それほど容易なことではありません。必ず弁護士に相談すべきです。
中小企業(下請事業者)からすれば、大きな会社(親事業者)との間に上下関係があるわけですからなかなか意見を言えないものの、絶対に譲れない一線というのもあるはずです。何でもかんでも自分たちで負担しなければならず、その挙句に一方的に取引を終わらせられてしまうようなこともあります。そのような場合に備えて準備をする必要性は低くありません。この準備についても必ず弁護士に相談すべきです。 
当事務所は、大きな会社(親事業者)からの相談に対しても、中小企業(下請事業者)からの相談に対しても、最も依頼者の方にとって有利になるようなお話しをさせて頂いておりますので、是非一度ご相談ください。

 

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