新宿の顧問弁護士なら弁護士法人岡本(岡本政明法律事務所)

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コラム - 201606のエントリ

 このたび、当事務所は、下記のアドレスにて、営業秘密に関するホームページを開設しました。

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各企業にとって情報の価値が高まる中で法的サービスを提供すべき状況が増えていると思いますので、本ホームページとともによろしくお願いします。

 

 

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一 驚いた弁護士
 
1   本コラムの読者層ですが、若い弁護士の先生が多くて驚いたと本コラムに書いたことがあります。親しい先生方からも「読んだぞ」とお声がかかることもあります。私もかなり年季の入った弁護士になったのですから、皆様の関心の深い弁護士の実像についてお話しすることも面白いと思います。
つまり交渉や事件として接触していて驚いた経験をお話しすれば、直接弁護士の品格についてお話しすることになります。驚いた弁護士について書きましても、個人情報とは関係ないでしょうし、しかも微妙であれば抽象的に記載し、皆様が不快と思われないように配慮するつもりです。
考えてみますと、今まで弁護士の品格に関係する事件で、「ひどい弁護士だ。驚いた」と思った事例は相続事件が圧倒的であります。
 
2  弁護士の実像が出てくる事件は、やはり高額報酬事件が多いですね。高額報酬事件といえば、相続事件がその一つです。しかも30年前の土地バブルの時代、土地の高騰は「天井知らず」でした。おじいちゃん、おばあちゃんの住んでいるそれ程広くない土地を見るだけでも、呆れるほどの値段になりました。「土一升、金一升」と称される時代でしたから、それに関係する事件は当然高額報酬が期待できます。当時の世の中の常識・気風も今より荒れておりました。
家屋を明渡しさせるため、現実に商売をされている店に、直接トラックで突っ込むという神田の事件も報道されましたが、さもありなんという危険な匂いがする時代的な背景もありました。乱暴な稼業の方も頑張っておられ、交渉の相手方となることも日常的でした。
 
二 有利な遺言書を残すための工夫?
 
1    最も弁護士の品格が疑われる事件は、依頼者に有利な遺言書を書かせる或いは既に遺言書があるが、自分の依頼者に有利なものに書き換えさせるため、居住先からおじいちゃん、おばあちゃんを誘拐するというものです。
    不思議に思われるかもしれませんが、当時、誘拐に類する事件は本当に多かったのです。誘拐行為自体はしなくとも、このような非常識な事態を弁護士が黙認していたという事件も経験しております。
 
2   今になっても思い出す事件を紹介しますが、この事件は誘拐と言えるのか疑問でした。
認知症が進み、毎日の介護が必要なおじいちゃんが長女のお世話になっておりました。次女から自分の家に遊びに来ないかという誘いがあり、軽い気持ちで遊びに出したのですが帰ってこなくなりました。次女に聞いても理由が良く分からなかったらしいのです。ちょっとの間でも介護疲れが癒されるというような事情もあったのでしょう。
このおじいちゃんはかなりの財産家でしたが、1カ月以上経過して、やっと戻ってきました。どうも知り合いの弁護士が出てきて遺言書を書かされたようだというので、いろいろ聞いていると、公証役場のような話も出てきたようです。どうも遺言書を書いたようだという結論になりました。
驚いた理由はこれからです。帰ってすぐに、おじいちゃんの署名が必要になり名前を書かせたら、自分の名字が略字でしか書けなくなっていたというのです。従来、本人は略字を嫌っておりましたから、辛抱強くその訳を聞いたところ、妹の家で毎日略字を書く訓練をしていたと話したのです。それも公証役場に行って以降は正式な自分の名字が書けなくなっていると推測するしかないというのです。
字の訓練にまで弁護士が絡んでいるとなると、皆さん笑ってしまわれるでしょう。
 
3  相談の第一は、公正証書遺言の内容を調べてほしいというものでした。おじいちゃんは介護をしてくれていた長女に感謝して財産の全部を長女にあげるという遺言をしておりました。次女も納得されるような内容ではなかったので、今回の事件に発展したのでしょう。
でも今回登場する弁護士は、長女も面識のある方だったので、長女はすぐに問合せをしております。しかし、その弁護士からは、知っているかどうかを含めて一切お答えできないという返事であったため、遺言書は作成されているとの確信になりました。その弁護士は妹が本来の依頼者だったから、こんなことになったと言って相談にきたのです。
 
4   長女は、その弁護士の関与を知りたがっておりました。しかし現在行われている遺言検索システムは、本人以外の相続人は遺言者が亡くなっていないと検索できません。しかも本人は自分の名字も書けない訓練をされております。私もおじいちゃんにお会いして種々テストをしてみましたが、今日の曜日も答えられず、通常では、公証人に公正証書遺言を作成してもらえないと判断されました。
ここからが秘策です。おじいちゃんには毎日自分の名前を書く訓練や曜日の会話等をしてもらいました。そして、その弁護士の先生の近くの公証役場の幾つかにおじいちゃんと一緒に回ってもらいました。該当する公証役場は意外と早く割り出せました。
私はおじいちゃんと長女を同道して、当該公証役場にお伺いして遺言書の作成をお願いしたところ、何の聞取りもなく、おじいちゃんは認知症ではないかと聞かれたのです。しかし、これでごく最近、その公証役場で遺言書を作成したことが判明しました。おじいちゃんの意識はその当時と殆ど変化はありません。当時と何の変化もない状況を説明して、本人から、再度公正証書遺言作成を依頼してもらいました。

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