新宿の顧問弁護士なら弁護士法人岡本(岡本政明法律事務所)

当事務所では、上場企業(東証プライム)からベンチャー企業まで広範囲、かつ、様々な業種の顧問業務をメインとしつつ、様々な事件に対応しております。

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コラム - 201506のエントリ

 

1 マイナンバー制度とネット社会
 
(1)   毎日のように新聞等を賑わせているマイナンバー制度は、ご存知 ですよね。
この制度は、国民全員に12桁の番号を付け、その番号で紐付けをすることによって、種々の分野で皆様の情報を統一管理し、適正な行政の運用を図ることを目的にしております。具体的には、社会保障や税制度の公平性・透明性を高め、その後、種々の分野で適用範囲を拡大させ利便性を高めるものとして鳴り物入りで採用されました。最終的には民間にも共通して利用させることを目指しているようです。
この制度は既に具体的な運用の段階になりました。今回、この制度を批判される論者の意見も随分読ませていただきました。しかし、皆様の関心が低いせいもあるのか?分析が不十分です。
 
(2)  マイナンバーは受け入れざるをえないにしましても、諸外国の実情から分析するこ
  とも重要だと思います。利用のされ方によっては個人情報の国家管理にも通じますし
  、アメリカ、韓国では「なり済まし」による犯罪被害も大量に出ております。
    ところで国の本制度に対する捉え方は、国家成長戦略を意識したものであって、社会保障や税制度の公平性・透明性だけでないことは明白です。例えば、529日、日経新聞一面の冒頭記事として、産業競争力会議(議長・安倍首相)で、マイナンバーの利用範囲を銀行預金口座と連携させるという内容での法案審議や証券口座の税務申告、更には戸籍に適用することも念頭に置き、年金、相続事務の簡易化、パスポート取得手続きにも利用するなどと推進に関する協議をしているようです。更に驚いたことには、政府はマイナンバー以外の分野でもIT(情報技術)の活用を広げるため法整備を進め、不動産取引における重要事項説明にも電子文書の閲覧という形で済ませるという記事が載っておりました。私は、不動産会社に勤務したこともありますが、一生に何度もない高い買い物をしているのに口頭説明もないというのは考えがたいことです。
いずれにしましても、マイナンバー制度について、政府が産業競争力会議という名前で議論していることからして、国民のためという側面もありましょうが、国家成長戦略と見ざるを得ません。
 
2 ネット社会に関係するコラム
 
(1)   ネットに関係するコラムを書くことについては、当初大変抵抗がありました。例えば「無能弁護士」とネットで検索にかけると、ネットで活躍された、ある特定の弁護士の悪口が氾濫しております。このようなネット社会の低俗さに呆れ、拒否反応がありました。
      しかし、会社情報の持ち出し(刑事事件)や、それによる不正競争事件等は、もはや顧問会社の通常事件として当事務所でも大量に扱っております。副所長が当コラム欄に「情報流出」に関係して事件紹介(閲覧数が多いのは驚きです)をしておりますが、これらは当事務所の通常業務にすぎません。
 
(2)  考えてみますと、あらゆる「モノ」をインターネットにつなぐという企業戦略「IoT」(インターネット・オブ・シングス)は既に我が国の国家成長戦略になっております。自動車やエアコンなど、ネットにつながる便利さは、今では常識的な話なのでしょうが、トヨタホームが販売する次世代省エネ住宅「スマートハウス」については驚きました。スマートハウスの情報が、場合によっては第三者によりアクセスできる可能性があったとして報じられたからです。つまり次世代省エネハウスはネットを通じて風呂のお湯張りや施錠が操作できるようになっていますが、悪意の第三者が利用した場合には盗難等危険な状態が生じることが分かったのです。
 
3 マイナンバー官民共通使用の国
 
(1)  マイナンバー官民共有の典型的な国としてエストニアがあげられます。近時も日経新聞記者がエストニアに取材に行った記事が掲載されました。でもエストニアはロシアという近隣大国を恐れ、仮に、ロシアに国土を占領されても電子上で行政を行えることを目指した国です。つまり仮想電子国家という状況を是認しているのですから、これは参考にはならないはずです。
 
(2)  では官民共通で採用している?北欧の国・スウェーデン等と、?アメリカ・韓国を比較してみましょう。
        当コラムでは、既に陪審と参審員裁判の併用をしている国としてデンマークを紹介したことがありますが、北欧の国では、個人の収入も開示されていることをご存じでしょうか。収入や課税が個人情報でないという状況について、あなたはどうお考えですか?
アメリカは北欧と同様官民共通して利用しております。14年前の同時多発テロを考えれば、アメリカが国民に対する監視の目を光らせる理由は納得できます。移住してくる外国人も多いですからね。そもそもアメリカが貧富差の著しい格差国家であることが北欧と根本的に違うのです(既に当コラムでも堤未果の著書等紹介済みです)。極端な自由競争社会(出生等の条件を考えると仮想です)ですから、格差は今後もどんどん拡大していきます。やはり個人情報を国が把握しているべき国家なのだと思われませんか。韓国も同じです。
 
 4 結論=日本はマイナンバーをドイツやフランスのように限定して利用しましょう。スウェーデンの裁判所の食堂で食事をしたとき、武装女性警察官が隣りに座りました。男性と区別がなく、日本に慣れた私には驚きでした。アメリカと北欧諸国を同列に論じることは誤りです。

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