新宿の顧問弁護士なら弁護士法人岡本(岡本政明法律事務所)

当事務所では、上場企業(東証プライム)からベンチャー企業まで広範囲、かつ、様々な業種の顧問業務をメインとしつつ、様々な事件に対応しております。

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コラム - 201212のエントリ

 

1 前回のコラムで約束した「事例紹介」の難しさ
 
(1) 所長である私は、前回、当コラムにおいて、次回から当事務所で扱った倒産関係事件の紹介をしたいと書きましたが、プライバシーの関係や債務整理事件の大量広告の時代を考えるともう一つ気乗りがしません。所長である私は、当事務所を信頼して事件を任せていただいた依頼者皆様の信頼を壊すような形で事例紹介をすることは厳しく戒めております。
確かに奇想天外で、小説でしかお目にかかれないような事件もありました。私自身を詐欺の対象とした「素晴らしい発想?」の事件もありました。当コラムを読んでいただいている若い弁護士先生にぜひとも読んでいただきたいような法律上珍しい事件もありました。
しかし、その内容がプライバシーに関係すると判断したものについてはそのまま紹介するつもりはありません。形を変えて記載するにしましても、プライバシーというような法律論以前の問題と考えて書いてきました。つまり私のモラルに反しないと判断しない限り書くつもりはありません。
 
(2) ところが世間ではこの基準が変わってきているのですね。
二か月前のコラム「弁護士に能力差はあるのか?」で紹介した三つの事例も、既に当ホームページ「借地借家の秘訣」で記載したものであり、且つ事例紹介に支障がないと容易に判断できる事例です。
そこで紹介した事例、債務名義を得ないで行った終局的解決の「団交の仮処分」事件は整理回収機構でも有名な事件であり、当時報道もされております。その内容においても傷つく人はいないと容易に判断できます。第二の「北池袋の明渡事件」として紹介した事例、念のため本事例は、高額の明渡料を拒否してそのまま賃貸借契約を継続させるという内容で勝訴判決をとった事例ですが、私の知らない間に、いろんな学術書や判例紹介において実名入りで紹介されています。後日、当事務所の若い弁護士が明渡事件を扱うことになって種々資料を探していたのでしょう、「すごい判決があります」と私にその学術書を持ってきたのには、当事者である私だから驚きました。どうしてこの本の著者は私に連絡しないのか疑問に思いますが、当事件は既に周知の事実と言えるのです。
 
(3) しかも一昨年行った大型病院の倒産業務については企業再生支援機構のホームページに実名入りで解決の手順を含めて、事例が紹介されているのです(しかし当事務所の名前がないのは残念ですね)。
当該ホームページには、公表事例として本事件を「私的整理の事例が少ない医療法人の再生モデルを提示することを目指す」事件として紹介されております。厚生労働大臣の所見も述べられ、当時私たち当事者が何とか労働者である医師や看護師、入院患者の皆様に迷惑をかけないで債務整理できないかと日夜悩んでいたことが当機構の「支援の意義」にそのまま記載されているのです。「高い公共性」、「地域への貢献度」、「有用な経営資源」、「医師看護師への配慮」等の各項目を読んでおりますと、院長先生や事務局長の皆様との苦悩の毎日がいやでも思い出されてしまいます。
 
(4) 私が極力分からないよう工夫してきたことなど、もはや配慮の必要がないと思われるほどであります。
 
2 所謂「クレサラ弁護士」への嫌悪
 
(1)           倒産関係のコラムを書きたくない理由はまだあります。
バブル崩壊後大量広告で集客し債務整理や破産関係業務を行ってきた、いい加減な弁護士や法律事務所に対する怒りです。私は、当時東京にある弁護士会の法律相談センターを統括する東京三弁護士会法律相談連絡協議会の議長の立場にありました。これらの法律事務所は、弁護士がほとんど関与しないでも業務ができる体制を作ることを経営指標としているため、依頼者の皆様に本当に迷惑をかける事例が頻出したのです。つい最近もテレビやチラシ等の各戸配布などという集団集客をしている法律事務所が、事件放置を理由にして、依頼者に損害賠償をするように命じられた判決も出ているほどです。
また過払い金を回収しない横着な弁護士や司法書士がいるという事例についても東京地方裁判所ですら周知の事実です。私が個人再生事件の再生委員をお願いされる際にも、裁判所の書記官から注意される事項の一つであり、このような司法書士或いは弁護士は、法曹界からいなくなってほしいと考えたりします。
 
(2)      倒産関係業務に関係するコラムを書くことは、以上に述べました安直に利益に直結するビジネスと同列にみられることが不愉快でならないからです。確かに法律相談センターの委員長までやっておりましたから、皆様の債務整理から破産まで数多くの事件を処理してきました。発生当初の「闇金」の連中とも怒鳴りあいの毎日でした。それぞれ事情の異なる依頼者に対応することは弁護士にしかできないことが多いのは常識です。大量処理を目ざす法律事務所で十全の対応ができるとは思えません。弁護士が直接解決に全力を尽くさなければ良い解決などできないというのが当事務所の信念であります。
 
3 今でもあったクレサラ弁護士の大量集客広告
 
    今回倒産関係に関するコラムを書こうとしてネットを見ていて驚きました。倒産関係事件について「歳末特別価格」と称する広告ホームページがありました。私が倒産関係に関するコラムを書きたくないという気持ち、お分かりいただけるでしょうね。
 

 

 

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1 貴社の就業規則規定は無効の可能性があります。
 
(1)これまで、当コラムにおいて、元従業員に営業秘密を持ち出された場合の対処法を書きました。営業秘密において「秘密管理性」の要件を満たすことがいかに重要なのか分かって頂けたと思います。
   今回は、裁判例上の「秘密管理性」の基準を満たすほどしっかりと営業秘密を管理していなかったけれども、“元従業員が競業会社を設立してけしからん!”という場合の対処法について書いてみたいと思います。
 (2)皆さんの中には、“我が社は就業規則で退職後の競業避止義務を定めているから大丈夫”と思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
   しかし、退職後においては、職業選択の自由が認められています。そのため、裁判例においては、競業制限の期間、場所的範囲、制限対象となっている職種の範囲、代償措置の有無などから見て不合理な場合には、競業避止規定が無効になると判断されています。
   実際、裁判例の基準に当てはめると、極めて多くの会社の競業避止義務規定が無効になると考えられています。
   当然ですが、競業避止義務規定が無効ということになれば、退職後の競業を禁止していても完全に砂上の楼閣です。
   貴社の就業規則規定が有効であると言い切れるでしょうか。
 
2 競業会社の設立が違法になるのはどのような場合か?
   仮に貴社の競業避止義務規定が無効だったとしても、それだけで気落ちする必要はありません。
   裁判例上、「自由競争を逸脱した違法な行為」であることが認められれば、元従業員の行為を違法と認定することができるからです。
   では、「自由競争を逸脱した違法な行為」とは、どのようなことをいうのでしょうか。
   実は、この点については、裁判例上も明確な基準があるわけではありません。そのため、詳しくは当事務所まで問い合わせて頂きたいのですが、次のような例を挙げることができます。
   例えば、元従業員がA社在職中から新会社の設立を企図し、突然にしかも一斉にA社を退職して新会社を設立し、A社の得意先に対してA社と同一または類似の商品を販売開始した場合です(東京地判昭和511222日)。
   また、元従業員が顧客に対して、新会社が事業を承継したかのような誤解を生ぜしめる通告をした場合にも、営業妨害行為として違法であると判断されました(横浜地判昭和591029日)。
 
3 勝訴するために重要なことは何か。
(1)元従業員が競業会社を設立した場合に損害賠償を請求したいと考えるのであれば、最も重要なことは競業避止義務規定を有効なものに変更することです。
   競業避止義務規定が有効の場合、元従業員に対して損害賠償請求をするばかりか、元従業員の競業行為を差し止めることまで認めた裁判例も存在します(大阪地判平成31015日)。
   当事務所にご相談に来て頂ければ、貴社営業の実情がどのようになっているのかを十分に把握した上で、有効な競業避止義務規定をご提案致します。決して貴社の実情を無視して、法律上の建前を無闇に押しつけるようなことは致しません。 
(2)仮に競業避止義務規定が無効のまま元従業員が競業会社を設立してしまった場合、元従業員の行為態様がどのようなものなのか十分に検討する必要があります。
   先述したような営業妨害行為があれば、元従業員の行為が違法であると認められる可能性が高まります。
   また、そもそも貴社在職中に顧客に対して新会社と取引を行うよう勧誘していたような場合には、違法行為であると認められる可能性が高くなります(東京地判平成21714日)。
   そればかりか、元従業員が貴社に対する信用毀損行為をしていれば、不正競争防止法上の違法行為になる可能性もあります。実際、当事務所では、信用毀損行為を行っていた元従業員に対して損害賠償請求訴訟を提起し、勝訴しています。
   元従業員に対する訴訟を提起したい場合、証拠からどのような認定ができるのかを緻密に分析した上で、就業規則上の競業避止義務規定に捉われず、広い視野で元従業員の行為が違法ではないかを検討する必要があります。
   元従業員の競業行為に悩まされている経営者の皆様、是非一度、当事務所にご相談にいらっしゃってください。
           (今回の記事は岡本直也弁護士が担当しております。)
 
 

 

 

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