新宿の顧問弁護士なら弁護士法人岡本(岡本政明法律事務所)

当事務所では、上場企業(東証プライム)からベンチャー企業まで広範囲、かつ、様々な業種の顧問業務をメインとしつつ、様々な事件に対応しております。

アーカイブ一覧はこちら

コラム - 201207のエントリ

 

1 当事務所が勝訴を得た裁判例 
  今回は“退職した会社の営業秘密を利用して不正競争を行った元従業員に対して損害賠償請求した”事案について紹介したいと思います。
  本件は既に第1審判決(平成23年11月8日東京地判)及び控訴審判決(平成24年7月4日地財高判)が言い渡されており、いずれも当事務所が勝訴を得ております。控訴審では、当事務所の行った附帯控訴によって、第1審判決よりも高額の認容額となりました。
  第1審判決は従前の裁判例でなされていなかった重要な判断を下しており、裁判所のホームページにも掲載されております(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20111212185454.pdf)。
(なお、脱稿後、控訴審判決も裁判所のホームページ及び知財高裁のホームページに掲載されました。http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120713165008.pdf
当事務所のホームページと合わせて裁判所のホームページもご覧頂ければ幸いです。
 
2 営業秘密を持ち出された場合の対処法 
  企業が管理している技術・ノウハウ・情報の中には、外部には決して見せることのできない門外不出のものも少なくありません。これら営業秘密は、各企業が長年にわたり築き上げた財産であるとともに、企業活動を行う前提となっており、ライバル企業や新参企業にとっては喉から手が出るほど欲しいものです。
  そのため、元従業員が退職する際に持ちだした営業秘密を使って新しい会社を設立したり、営業秘密を“手土産”にライバル企業に転職したりすることさえあるようです。
  そのような場合、営業秘密を持ち出された企業が最初に検討するべきは刑事告訴の可否でしょう。営業秘密を持ち出した態様によっては10年以下の懲役に処せられる可能性もあります。
  また、当然のことながら、損害賠償請求訴訟を提起することもできます。販売の差止請求や謝罪広告の掲載を求めることもできます。
  もっとも、裁判において営業秘密と認められる範囲はそれほど広くありません。企業が営業秘密と考えているものであっても、①秘密管理性②有用性③非公知性の各要件が認められなければ営業秘密として認められず、不正競争防止法上保護の対象にすらなり得ません。
  単純に訴えれば勝てるというようなものではありません。
 
3 営業秘密と認定されるための証拠収集・整理 
  本件訴訟においては、“業務で知り合った顧客の情報は会社と従業員のどちらに帰属するか”“顧客情報は秘密に管理されているか”“元従業員が顧客に対して虚偽事実を告知したか”など多様な論点が争点になりました。
  訴訟の初期段階において、会社担当者の方が、“当社はしっかり秘密として管理しているのだから営業秘密として認められて当然”と仰っていたのが印象的です。しかし、会社の方からすれば「当然」のことであっても、裁判所から見て「当然」というわけではありません。訴訟において重視されるポイントごとに的確な証拠を提出しなければ、勝訴することはできません。
  私は直接会社に行き、本件に関係がありそうなあらゆる書類を倉庫の中から出してきてもらいました。段ボール箱何箱あったかまでは覚えていませんが、あまりに大量の資料であったため、会社の打ち合わせ室を一部屋借りて膨大な時間をかけて整理しました。法律専門家ではない会社担当者の方では、どれが訴訟で必要とされる資料なのか区別するのは難しかっただろうと思います。
  本件では資料を的確に整理して証拠として提出することができたため、“従業員が自己の所有する携帯電話や記憶に残したものも含めて顧客情報は会社に帰属する”と判断されるなど当方の主張がほぼ全て認容されました。
 
4 小結 
  従業員が営業秘密を持ち出す情報漏洩行為は企業の根幹を揺るがしかねない問題であり到底許されるべきではありません。しかし、証拠を的確に使用しなければ、勝訴できるものも勝訴できなくなってしまいます。
  資料があるのに有効な使用方法が分からないということであれば、専門家によるアドバイスを受ける必要があるでしょう。
  また、“資料が残っていないため営業秘密としてすら認められなかった”ということがないように平常時より記録を残しておく必要もあります。
  当事務所では、平常時の営業秘密管理を始めとして、刑事告訴や訴訟提起を行う場合の的確な法的支援を行っております。
  この機会に御社の「営業秘密管理システム」について、法的側面から見直されることをお勧め致します。
(今回の記事は岡本直也弁護士が担当しております。
   記事の中でもご紹介したとおり、私自ら会社に出向き会社の倉庫に保管されていた膨大な資料を整理しました。法的側面より「営業秘密管理システム」の構築に向けた支援を行っておりますので、ご相談がございましたら、ご一報ください。)
    

 

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ:03-3341-1591

メールでのお問い合わせ:ご質問・お問い合わせの方はこちら

  • 閲覧 (127755)