新宿の顧問弁護士なら弁護士法人岡本(岡本政明法律事務所)
当事務所では、上場企業(東証プライム)からベンチャー企業まで広範囲、かつ、様々な業種の顧問業務をメインとしつつ、様々な事件に対応しております。
コラム - 会社法カテゴリのエントリ
この度、当事務所の岡本直也弁護士が 「BUSINESS LAWYERS」という企業法務に関する運営主催で善管注意義務に関するセミナーを2度行いました。
1度目は、令和5年10月12日に下記の「Q&A善管注意義務に関する実務」セミナーを行いましたが、受講者の満足度が80%を超えていたと伺っています。
https://www.businesslawyers.jp/seminars/235
2度目は、令和5年11月7日に下記の「Legal Innovation Conference 〜事業を加速するリーガルテック〜」の法務に役立つミニセッションとして、「いま気を付けておくべき善管注意義務」と題するセミナーを行いました。
https://www.businesslawyers.jp/seminars/238
主に話題となっているビッグモーター事件やジャニーズ事務所性加害事件などの具体的な事例を挙げて、企業や取締役の善管注意義務ひいてはコーポレートガバナンスやコンプライアンスにつながる企業法務の解説を行いました。
当事務所は、企業法務に関して、様々な知識と実務経験を有しており、様々な企業の方に対して適切なサービスを提供することが可能です。取締役の善管注意義務に関する問題をはじめとして、是非とも、企業法務に関するお問い合わせを頂けますと幸いです。
当事務所の岡本直也弁護士が、「役員や従業員が日頃から気をつけなければならない 善管注意義務、競業避止義務、利益相反取引 〜社内に周知しておくべきコンプライアンス〜」と題して、株式会社金融財務研究会主催のセミナー講師を務めます。
また、「善管注意義務」に関連する義務として、「競業避止義務」「利益相反取引」があります。
「競業避止義務」については、役員や従業員の在職中のみならず、退職後に大きな意味を持ちます。終身雇用制の維持が困難になり、転職が当たり前の現代社会では、退職後に競合会社に移籍することが珍しくないからです。会社が何もリスク管理をしていないと、会社の顧客が競合会社に奪取されかねません。
「利益相反取引」についても、複数の会社の役員を兼ねることが多くなった現代において非常に重要です。自己や第三者の利益のために会社の利益を損ねることは許されないからです。
本セミナーでは、「善管注意義務」、「競業避止義務」、「利益相反取引」という非常に重要な概念について、最近の事例を紹介しながら、具体的に分かりやすく解説してまいりますので、ご興味のある方はぜひともご参加下さい。
このたび、当事務所の弁護士岡本直也が、「Q&A 善管注意義務に関する実務」(日本加除出版)を上梓いたしました。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/481784860X/ref=dbs_a_def_rwt_bibl_vppi_i1
本書は、「善管注意義務」に焦点を当てて解説したものです。
「善管注意義務」とは、例えば会社や各種団体の「役員責任」が問題になる際に争点となる法律論です。
本書では、役員責任のほか、業種毎やケース毎に問題となる善管注意義務、医師、税理士、司法書士や建築士などの専門家の善管注意義務を解説しており、いざ問題となったときに参照していただけるとお役に立てると思います。
当事務所では、取締役や監査役の責任が問題になった場合、会社の善管注意義務が理由で法的紛争が生じた場合、専門家の責任が問題になったときなどの事案について様々な経験と実績を有しております。
このような問題を予防した場合や問題が生じた場合には、是非とも気軽に当事務所にご相談ください。
どうぞ宜しくお願い致します。
会社不祥事における調査委員会
- カテゴリ :
- 会社法
当事務所でも毎年の如く調査委員の業務を受任しております。その都度、猛烈な調査活動を し、不祥事の実態と原因の調査、そして当該不祥事に対する再発防止策等まで検証して、依頼 主に数十ページ程度の調査報告書を作成、提出しております。
ところで、今回、調査委員会に関係したコラムを書こうと思った理由から申し上げましょ う。以下に述べます判例紹介が、皆様の関心を呼ぶであろうと思われること、しかも、会社の ために行う株主代表訴訟や、会社の訴訟参加(補助参加と言います)というような専門的な法 律制度の紹介にも適していると考えたからであります。
2 では判例紹介から入りましょう。
近時発行された判例時報2442号に、2017年に発生した「地面師詐欺事件」に関係する判例 解説(大阪高裁令和元年7月3日、民事6部決定、抗告棄却確定)が載せられておりました。
判例評論として付けられた題を、そのまま引用します。
「株式会社の社外役員で構成される調査委員会作成に係る調査報告書が『民事訴訟220条4号 二』にいう『自己利用文書』に該当しないとされた事例」と記載されています。
判例時報では、会社の名前については慣例により伏せてありますが、理由中に大手ハウス メーカーと記載され、事件発生時の年月日や所在地等、事案の内容等がそのまま記載されてい るのですから、あの有名な地面師詐欺事件の事例であることは直ちに判明します。
3 では、この文書提出命令の前提となる事件の紹介から入りましょう。つまり、上記命令の前提として、大手ハウスメーカーの株主が、地面師詐欺により生じた損害55億5900万円余を、 当時の代表取締役社長及び副社長に対して責任追及の訴訟を提起したことに端を発しておりま す。このように株主が、不祥事を起こした会社経営者らに対して責任追及する訴訟(損害賠償 請求訴訟)を株主代表訴訟と言います(会社法第847条)。この事件の大報道を契機に「地面 師」という用語も定着しました。
上記株主代表訴訟に対し、会社は、被告らを補助するため当該訴訟に参加しました。会社法 第849条第1項により、会社は、訴訟参加をすることが可能です。このような制度を法律上「補 助参加」と言います(民事訴訟法第42条も参照)。
訴えていた株主は、補助参加した会社に対し、当時の調査報告書の提出を求めました。不祥事の原因を追究して会社経営者に損害の補填を要求しているのですから、当時の調査報告書の提 出を求めることは当然の成り行きです。ところが、この調査報告書の提出について、会社は、 自己利用文書であることを理由に提出を拒否したのです。民事訴訟法第220条4号ニで「専ら文 書の所持者の利用するための文書」は、文書提出命令を拒むことができるとされているので す。
今回、紹介する大阪高裁の決定では、会社の主張する自己利用文書であることを否定し、当 該調査委員会作成の報告書の提出を命じました。何と、裁判所は、イン・カメラ手続きと言わ れる制度(民事訴訟法223条6項)を利用して、自ら当該調査報告書を読了した上での結論で す。
4 そもそも、調査委員会の報告書は会社の不祥事が暴露されるものですから、不祥事を防御できなかった会社組織の弱さや矛盾、そして、それに潰されるサラリーマンの悲哀が読み取れる ものが少なくありません。
私の好きな小説作家池井戸潤の企業小説の世界が展開されていると感じられる場合もあるの です。
もっとも、調査委員会には、本件のように会社関係者で構成される社内調査委員会のような 場合もありますが、全く外部に委託する「第三者委員会」と呼ばれるものもあります。会社が 調査報告書をどのように利用しようと考えているかで、委員の構成の仕方が変わります。
このように会社の考え方により調査委員の構成の仕方が変わりますから、企業べったりだと いう批判も絶えません。「第三者委員会の欺瞞」という本まで発行されておりますし、「第三 者委員会報告書格付け委員会」なる組織もあり、報告書の採点をしております。
5 ところで、このコラムを掲載したくなった理由は、もう一つあります。
この地面師詐欺事件は、目黒川沿いにある古い旅館の土地購入を巡る事件でした。実は、昨 年、当事務所の顧問先が建てたマンション立ち上げに際して、目黒川沿いのマンション建築現 場に臨場させていただきました。当該マンションのベランダから見下ろす目黒川の風景は、本 当に絶景でした。春の桜並木に彩られる目黒川を想像すると、大手ハウスメーカーの当該社長 でなくとも、是非、当該マンションを購入したくなると思ってしまいました。
この気持ちを当事務所の面々に話したところ、目黒川沿いの高級飲食店にまで、話が盛り上 がりました。