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元従業員や競業会社に顧客を奪われた場合の解決例(その6 不正競争)

カテゴリ : 
情報管理・不正競争

 

一  当コラムで何度もご紹介している通り、裁判で不正競争防止法の「営業秘密」に該当すると認めてもらうことはそれほど容易なことではありません。経済産業省のガイドラインを見て、諦めてしまっている会社も少なくないと思います。
  しかし、仮に不正競争防止法の「営業秘密」に該当しなくても、損害賠償請求が認められないというわけではありません。
   本コラムでは、当事務所で扱った事例で損害賠償請求が認められた案件をご紹介いたします。 
二 その訴訟は、元従業員が競業会社と共謀して会社の顧客を奪い取ったという事例です。
(一)具体的には、元従業員は、退職直前に会社の顧客情報等を大量にコピーしていました。元従業員は、退職直後に競業会社に顧客情報等を持ち込み、顧客に対して、今までの取引条件よりも安く契約するので競業会社と取引してほしいと働きかけたという事例です。
   元従業員が顧客情報等を持ち出したとはいえ、当該会社の顧客情報等は厳格に管理されておらず、不正競争防止法上の「営業秘密」には該当しませんでした。
   そのため、元従業員の行為が違法であると立証するのはそれほど容易ではありませんでした。 
(二)そこで、当事務所では、弁護士が、会社の担当者と共に協力的な顧客を一つ一つ訪問し、元従業員から契約変更を働きかけられた際の話を聞かせて頂くとともに陳述書を作成して頂くことで、元従業員の悪質な行為を立証することにしました。協力して下さるということであれば地方の顧客にも訪問しました。
   当事務所が費やした時間は相当なものでありましたが、当該陳述書等が功を奏し、訴訟では、第一回口頭弁論期日から裁判官が当方に極めて好意的な意見を述べるという状態を作り出すことができました。
   訴訟では一旦出来上がった流れが突然大きく変わるということはそれほど多くありませんので、その後も、当方に有利な流れで訴訟は進行し、証人尋問になりました。
   反対尋問では、元従業員も最初は言い逃れをしていましたが、最終的には当方の追及に耐え切れず、在職中から会社の情報を利用して顧客を奪う準備をしていたこと等を認めるに至りました。
   当方が勝訴を確信した瞬間です。
三)当事件では、元従業員が数多くの顧客に働きかけていましたが、大部分の顧客は取引を変更しなかったため、会社の実損害はそれほど多くない事例でした。
   そのため、逸失利益(本来であれば得られたであろう利益)が争点となりましたが、結論としては逸失利益も認められました。
   当方が勝訴となる判決文を作成済みであることは裁判官が明言していましたが、元従業員が高額の解決金を支払うことを約束したことや元従業員との関係性などを考慮 して、最終的には当方の勝訴的和解で決したという事例です。
三 このように、仮に経済産業省のガイドラインなどをチェックしてみて、「営業秘密」とは認められなさそうだな、と思ったとしてもすぐに諦める必要性はありません。
   元従業員や競業会社が自由競争の範囲を逸脱するような悪質な行為をしていれば損害賠償請求が認められる可能性は十分あります。
   まずは当事務所にご相談いただければ幸いです。
                                               

 

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