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新宿の顧問弁護士なら弁護士法人岡本(岡本政明法律事務所)

当事務所では、上場企業(東証プライム)からベンチャー企業まで広範囲、かつ、様々な業種の顧問業務をメインとしつつ、様々な事件に対応しております。

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あなたの情報の値段(その2 ネット社会)

 

1 情報流出事件
 
(1)    ネット社会その1「マイナンバー制度」を本コラムに掲載した直後、日本年金機構の保有する100万人以上の個人情報が流出したことが発覚しました。さらに近時、早稲田大学の保有する個人情報が流出していたのに、その感染に気付くまで半年も分からなかったという報道もなされています。
 つい最近、顧問先が標的型メールによるサイバー攻撃を受け、当該メールが当事務所のパソコンにも送られてきました。しかし万全のセキュリティー対策が施されているため問題が生じませんでした。また当コラムに大量のトラックバックを貼られたこともあります。もちろん既に当コラムで紹介しておりますとおり、当事務所では、元従業員等の企業情報持出し事件等も多数受任しており、当事務所の弁護士が顧問先のパソコン、情報管理システム等の調査に出向くこともしばしばです。
 
(2)       問題は情報漏えいに対する対策と、漏えい後の処理です。
          当事務所は法律事務所ですから、当然、情報流出後の法的処理が専門です。そうして考えますと、68日、塩崎恭久厚生労働大臣の答弁はあまりにもお粗末です。塩崎大臣は、衆議院の決算行政管理委員会において、前項の流出した年金加入者情報が悪用されたとしても「金銭的な補償を行う考えは、今は持っていない」と質問に答えたというのです。呆れましたね。そもそも当事者の言うことか!
確かに、個人情報漏えいの損害賠償金額は低いです。
でも類似事件において、流出した個人情報の損害賠償金額について判断した最高裁判決もあるのです。やはり官邸の法的な事案把握及び処理能力の低さはお粗末としか言いようがありません。
 
2 流出した個人情報に関する法律相談
 
(1)   ネットに関係する相談を受けることは大変多いですね。
次項で判例を紹介しますが、企業情報の持出し等を除き、単なる情報流出事件であって実害が生じなければ賠償金額は低いです。
今回紹介する事案は、ネットと直接関係しませんが、ネット社会のコラムを書こうと考えていた当時の相談であり、且つ損害額の算定に関係する分かりやすい事案であります。重要事項は秘密とさせていただき、その一部を紹介致しましょう。
 
(2)  その方は、大掛かりな自宅改修工事を発注されました。その自宅は、大手建設会社から買われた建物でしたから、改修工事発注先もその著名な一部上場企業になります。補助金が出る工事もあったようで、契約書には実印の印鑑証明書付きで、自分の振込銀行口座も記載されるというような個人情報満載の契約書でした。自宅で契約したのですが、驚いたことに、後日、担当でない別の社員が来訪され、担当した社員は精神的な問題があって契約書及び印鑑証明書等の原本一切を紛失してしまったと説明したそうなのです。
 
(3)  「どう処理したらいいのか」という相談です。
早く再契約しないと工事の着工もできません。ちょうど、私は、コラム原稿の参考資料として、今年425日号の「週刊ダイヤモンド」、「あなたの情報はいくら?」という特集号を持参しておりました。精神的な慰謝料が安いことを、司法判断である法的処理から説明し、判例説明及び上記記事もお見せしました。即ち、実害が生じればその賠償額は請求できますが、そもそも損害が生じないように処理する工夫が大切だと説明しました。実害が発生しないための工夫を種々議論しました。
結論として、実印の変更(印鑑購入代を含む)や銀行口座解約手続等に要した費用は実害として相手会社に請求しました。精神的な負担は僅かでしかないので諦め、相手会社に恩を売ることしました。その結果、工事が順調に開始したと大変喜ばれたのです。相談者からは、ネットを含め多くの弁護士にあたったが、こんな分かりやすい説明・解決方法は初めてだと感激されました。
 
3 個人情報の値段に関係する判例
 
(1)     紹介する判例の事案は、今回の年金情報漏えい事件と似ておりま  す。この情報漏えいは、平成11年、京都府宇治市の住民基本台帳のデータ21万件以上が、委託している民間業者から外部に流出したものです。「宇治市住民基本台帳データ大量漏洩事件」控訴審判決と言われる本事件(大阪高等裁判所平成13年(ネ)第1165号損害賠償請求控訴事件)は、個人の基本4情報である氏名、住所、性別、生年月日が漏えいした場合の慰謝料が確定した初の判決と言われております。最高裁に上告されましたが、棄却され確定しております。判決で示された慰謝料は一人当たり、たったの1万円なのです。弁護士費用も一人当たり5000円ですから、訴訟による経済的合理性はないと考えた方が利口です。
 
(2)     注意を要しますが、本件は、これらの個人情報についてインターネット上で「購入しませんか」と広告まで出されていたという悪質な側面がありました。もちろん当判決では、「具体的に何らかの被害を、被ったことは、主張立証されていない」と判断しております。
 とするならば、実害が生じない場合の精神的な慰謝料は実際に行われている500円から1000円だと考えることも可能です。
 
 4   日本もマイナンバーが採用されます。官民共通番号仕様にしたアメリカで「成りすまし犯罪」が年間900万件だ、1000万件だと言われる実態は、絶対に避けてほしいものです。

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