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新宿の顧問弁護士なら弁護士法人岡本(岡本政明法律事務所)

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自救行為或いは自力救済(その2 賃貸管理の続き)

 

1 連帯保証人立ち合いによる自力救済(前回からの続き)
 
(1) 連帯保証人になっているその筋の兄貴分の言い分は次の通りで ありました。「自分の連帯保証責任を追及しないのであれば、動産搬出の立ち合いをする、自分が賃借人に搬出の件については承諾させる」という返答でした。これを聞いた依頼者は「これからの賃料収入がないと困る。兄貴分が賃借人に搬出を承諾させると言っているのだから連帯保証責任は免除します。動産搬出を直ぐにしてください」というものでした。
 
(2) 「その筋」のいい加減さを知っている私は本当に困りました。
許されない自力救済は、私自身の弁護士会懲戒問題にも発展し、私自身の多大な経済的損失になりかねません(連帯保証人が親族であれば動産搬出をしていたか?と聞かれると困りますがね)。
信義を唱えられる「その筋」には信義がないことを経験しておりましたので、絶対にややこしい話になると予見しました。私は依頼者に「報酬は一切いりません。代理人を辞任します」と告げました。
その後も依頼者には万全の手を打つようにアドバイスを続けましたが、行方不明の賃借人に辞任通知を出すことができないことに気付いて「あぶねぇな」と愕然としたことを覚えております。
 
(3) 本件の代理人は辞任しましたが、依頼者には段取りを十分に説明し、兄貴分立会いの上で、現場写真を撮って、家具動産類の目録も作らせました。その上で家具等の動産類を搬出し、賃借人が出てくるまで倉庫で保管することにしました。
兄貴分の説明通り家具や動産搬出には苦情は出ませんでした。
 
(4) しかし何と、行方不明の賃借人から「高い絵があるからそれを返してほしい」と言う苦情が私宛にきたのです。「やっぱり」と言うのが私の感想でしたね。でも膨大な滞納賃料があるのによく言いますよね。これが「その筋」の方々の「やり方」なのです。
このような問題が起きることを意識して倉庫に保管していた「見るからに安っぽい絵」を返却する条件として、その他の家具等の返還要求はしないことの確認書を取って、業務から解放されました。
自救行為で「危ない橋」を渡った私は相当に頭に来ていたのでしょうね。依頼者の方には「もう二度と事件の依頼をしないでください」と通告し、20年以上連絡すら入れておりません。 
 
2 賃貸借契約における自力救済は怖い
 
(1) 不動産の明渡等を専門にされる弁護士、これも「ブティック型法律事務所」いうのかもしれませんが、そんな事務所も増えていると聞いております。しかし、依頼者に対してよほど乱暴なことをしないと経営は困難でしょうね。そもそも賃料の相場を考えてくだされば分かると思いますが、事務所維持費用すら回収できない分野だと思います。前回コラムのような依頼者が通常のお客様でしょうから、賃料相場に比例しない諸費用の支出は経済的合理性に反します。
私の事務所ではビジネスになりがたい分野という話になります。
 
(2) しかし、当事務所では賃貸管理を業とされる顧問先は何社もあります。顧問になっていただいた場合には明渡事件もどんどん受任しております。それは当事務所との信頼関係でしょう。
今回は顧問先に迷惑にならない範囲で驚いた自救行為の話をしてみましょう。
先ず最初に、賃貸マンションの家賃不払が続いた場合、マンション入り口の鍵の交換をして利用できなくしてしまう事例は多いですね。さすがに賃貸管理を業とされております顧問先は、これが自救行為として許されない範囲のものであることはよくご存知です。
驚きましたのは、マンション入り口鍵穴を含めたドアノブの上から全体を包み込むようにした器具を被せ、その器具に鍵をかけてしまうという手法です。そして必ず連絡文、「利用される場合には直ぐに連絡してください、お開けします」を付け、賃借人の利用を妨害していないような形をとるというのです。この器具は大阪の顧問先が利用していると言っておりましたので、東京の顧問先に話してみました。顧問先から「その器具が東急ハンズで売却されていたので購入しました」と報告を受け、東急ハンズもすごいと感心しました。
でもこの事例でもマンションが利用できなくなる可能性はあります。業として利用される賃貸だと損害が発生する可能性は高いでしょうね。弁護士としては利用されないようアドバイスするでしょう。
 
(3)  次も顧問先の事例ですが、これは記載しても問題はないでしょう。
 20数年前、賃貸管理を業とする顧問先から明渡の事件を受任し、通常のルールに従い訴訟となって第一回の口頭弁論期日を迎えました。当日、相手方弁護士の弁論は、当社の顧問先が名誉棄損をしたと話され、貸室入り口ドアから横の窓ガラスまで、「金を払ってください」等と抗議と経緯が記された書面が大量に張り付けてある写真を示されました。裁判官も「これはひどい」なんて漏らすのです。
 でも不思議なのですが、これはそれ以上に大事にはなりませんでした。つまり本件の賃借人はこのマンションが気に入っており(名誉棄損のビラを貼られて変ですね)、これからも住み続けたいので和解にしてほしいというのです。顧問先担当者に話をして分割金支払いでの和解にして解決しました。受任してからのビラ貼りであれば私は懲戒申立の可能性もありました。相手方弁護士には「先生の顧問先は下品ですね」と言われましたが、返す言葉がありませんでした。
 
  まだまだ自救行為のコラムは続きますよ。

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