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風評被害を受けた場合、どのようにすれば良いか。

カテゴリ : 
風評被害

 

1 深刻な風評被害の増加傾向 
平成24530日に総務省が発表した調査結果(http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/120530_1.pdf)によると、日本におけるインターネット普及率は79.1%、スマートフォンの普及率は16.2%にも及ぶそうです。
如何に情報技術が浸透し、気軽に様々な情報にアクセスできるようになっているのかが良く分かると思います。
他方で、情報が氾濫しているといっても過言ではなく、虚実入り混じった情報が半永久的に残ってしまうということも多くなっているようです。
とりわけマスメディアに端を発した情報の影響力は極めて強く、情報が虚偽であった場合に受ける損害は甚大です。
最近では原発事故に伴う風評被害が報じられていますが、有名なところでは、ニュースステーションという報道番組が農作物のダイオキシンに関して報じて風評被害が生じた事件がありました。
今後ますます風評被害が増えていくことは間違いなさそうです。
 
2 風評被害の損害賠償請求は難しい? 
(1)貴社が風評被害を受けた場合、法律論上は、名誉棄損罪、信用毀損罪及び業務妨害罪に該当すれば刑事告訴できる可能性もありますし、損害賠償請求訴訟を提起することもできます(ネット上で行われた風評被害については、また別の機会に詳しく説明しようと考えておりますが、相手が誰なのかが不明である場合には、相手を特定するために発信者情報開示請求をすることなどから始める必要があります)。
  もっとも、詳細な調査と緻密な分析なく損害賠償請求訴訟を提起した場合、高額な損害を獲得することが困難であるばかりか、請求が認められない恐れすらあります。 
(2)このようなことをいうと、「何言ってんの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
  いったん風評被害を受ければ、評判はガタ落ちになり、数十年にわたって構築したブランド価値さえ損ないかねません。インターネット上の“口コミ”などで叩かれれば、顧客が減少するのは目に見えて明らかです。
  「莫大な損害が発生しているのは明らかなのだから、裁判においても認められるに決まっているでしょう!」
  そう考えるのも当然と言えば当然です。 
(3)しかし、訴訟で損害が認められるためには、風評被害から生じた損害額がいくらなのか具体的に立証しなければなりません。
  “大体これくらいの損害が生じました”というような曖昧な主張では裁判所は納得してくれません。あらゆる客観的証拠を提出して裁判所を説得しなければなりません。
  それにもかかわらず、訴訟上、ブランド価値や評判など無形の価値が毀損された場合の損害賠償額を適切に算定する方法は確立されていません。
  裁判所さえもどのように算定するべきか手探りの中、風評被害からどのような損害が生じたのか、具体的な証拠を根拠に立証しなければならないのです。
 
3 風評被害の裁判では様々な点が争われています。
(1)風評被害が生じた際の論点は多岐にわたっています。
  例えば、国が、特定のA社を名指しした上で、不正確な情報をもとにカイワレ大根がO−157汚染源の可能性が高いと指摘したとします。
  当然、名指しされたA社は損害賠償請求可能ですが、同じくカイワレ大根の生産業者でありながら名指しされていないB社が損害賠償請求することはできるでしょうか。
  同様の事例で裁判例は結論としてB社が損害賠償請求できることを認めました。
  しかし、同業者であればいかなる場合も損害賠償請求できるとまでは考えられていないのが一般的です。如何なる場合に損害賠償請求できるかは慎重に判断する必要があります。 
(2)或いは、C社から仕入れた食品が原因で食中毒が発生して売上げが減少したとして、飲食店(レストラン)がC社を訴えたとします。
  この場合、C社から「うちの食品が原因ではない」という反論がなされることがあります。
  そこで、裁判例を見てみると、具体的事情によって結論は様々です。例えば、瓶詰オリーブの開封後に菌が混入したのかどうかが争われた事件においてはC社の責任が肯定されましたが(東京地判平成13228日)、バイキングレストランにおけるケーキの汚染経路が争われた裁判例ではC社の責任が否定されています(東京地判平成231026日)。
  そもそも誰の責任なのかについてもしっかりと証拠を収集してから裁判を起こさなければならないことが良く分かって頂けると思います。 
(3)これ以外にも様々な論点があります。
  裁判所に提出可能な証拠をもとに、どのような請求をすることができるかを検討し、戦術を立てることが必要不可欠です。
  どのような戦術を立てるべきか是非当事務所にご相談にいらっしゃってください。
       (今回の記事は岡本直也弁護士が担当しております。)

 

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