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当事務所では、上場企業(東証プライム)からベンチャー企業まで広範囲、かつ、様々な業種の顧問業務をメインとしつつ、様々な事件に対応しております。

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事件記録の整理で分かったことー倒産関係事件の多さ

カテゴリ : 
破産事件

 

1 当事務所での事件記録の保管はどうしているか?
 
(1)  当事務所では、数年毎に終了した事件の記録を点検し、保管するか廃棄するかどうかを決めています。
事件記録の整理・保管の仕方について、事件として受任した段階から順に説明しましょう。このような説明をする法律事務所のコラムは見たことがありませんが、当事務所のポリシーを説明するにはうってつけの題材です。
 
(2)  事件を受任すると、決められた担当者が予め決められた一定の方式で記録の作成を開始します。事件が継続している限り、担当弁護士が事件記録を整理作成し、決められた場所にて保管します。便宜を考慮して、通常は、担当の弁護士が自らの本箱で保管することが通常ですが、巨大事件は事務所中央にある本箱で共同保管します。
ここで重要なことは、どこに保管されていても、他の弁護士や事務局も同記録を閲覧或いは自由に取り出せるシステムをとっているということです。当事務所は、他の事務所以上に、各事件に対して事務所全員で議論し、その議論に基づいて種々の対応をすることを念頭においています。したがって係属中の記録の整理には、他の弁護士や事務局が閲覧しても直ちに分かるように記録されねばなりません。常に事務所全員で全ての事件に対処しているという認識をもっていることが必須なのです。
当事務所に参加を希望される弁護士、司法修習生諸氏も、自分の個人事件であっても、同様のシステムが採用されることを了解されないのなら、履歴書の提出など絶対にしないでください。
 
(3)  事件として終了すると、通常、暫くは担当弁護士のロッカーに置かれることが多いが、閲覧の必要性があるかどうかを考慮して、共同ロッカーに移動されることもあります。当事務所では、年間かなりの数の事件を新しく引き受けています。事件として終了しても引き続き閲覧する記録もあり、保管場所には注意を払っています。
 
(4)  終了後、数年を経過して保管か廃棄の判断をすることになります。依頼者の都合を考えて判断するようにしていますので慎重な判断が必要です。しかし借りている倉庫ですら記録が溢れてしまう状況ですので、やはり10年を超えれば殆んどの記録を廃棄処分せざるをえません。事務所責任者としては7年程度を目途にして廃棄を考えるようにしています。
 
2 今回の記録整理で判明したこと
 
(1)  今回記録を整理していて受任事件に特殊な傾向のあることが分かりました。これまでは、ある地方に事件が集中したり、刑事事件とか家事事件とかが一度にくるというように、不思議に何かが共通する形で受任することが多いと思っておりました。
今回の記録整理では、10年前の平成14年頃、何と倒産関係事件が多いことかと驚きました。平成14年度を挟んで前後3年間だけでも50件以上の倒産関係事件を処理しています。
当事務所は、クレサラ事件や、破産申立を中心に派手な広告をして集客する債務整理型事務所ではありません。一つ一つの事件を丁寧に処理する所謂地味な企業法務を中心にして受任する事務所です。したがって容易に処理できる個人破産の申立のような事件は少なく、反対に処理の困難な事件が中心であり、それを誇りにして頑張ってきました。当事務所の形態では、この数の倒産関係事件の処理は相当きつい作業を要求されます。
 
(2)  この特徴的傾向は、むしろ皆さんに自慢するべき内容なのです。倒産関係事件の殆どは、東京地方裁判所より依頼された事件だからであります。中心は裁判所より選任される破産管財事件ですが、当時より単純な個人破産や免責調査型などの破産管財事件はあまりありませんでした。殆どがややこしい、入り組んだ企業倒産が中心でした。もちろん中には民事再生事件から監督委員に選任され、牽連破産によって破産管財人になったという手数のかからない事件もあります。
 弁護士になって数年後、破産管財人に任命された難事件の解決が裁判所から重宝していただくきっかけになったと思います。思いだしますと、東京高等及び地方裁判所の入る建物の18階大会議室で破産管財人の教育のため、私は指導係として呼ばれ、並みいる弁護士の上席3番目に着席させられた時、何故弁護士経験の少ない私なのかと疑問に感じたこともあります。そのきっかけになった事件は後のコラムで紹介しますが、その研修会の帰りには裁判所の刻印が押された紅白まんじゅうをいただき驚きました。
 
(3)  倒産関係事件の内容
受任事件には、平成3年より施行された個人再生手続の定着により、東京地方裁判所より選任される再生委員の事件数も入っております。施行当時、私は、第一東京弁護士会の法律相談センターの委員長になっておりました関係から、裁判所の意向を弁護士会で工夫した記憶も鮮明です。
当時週刊誌も賑わした珍しい事件としては、会社からは民事再生の申立があったものの、債権者はそれに反対して破産の申立をした事件もありました。裁判所からは、調査委員、保全管理人、そして最後に破産管財人に選任されたこともありました。このような事件は、画一的な処理を要求される債務整理型法律事務所で取り扱えないことは明らかです。
 
(4)  当事務所の専門性
そもそも私は、築地でいわゆる「仲卸」と言われている魚の競りをされる会社の破産申立事件を、裁判所の依頼により受任する数名の専門弁護士の内の一人であり、そのパイオニアであります。このようになった経緯も後に当コラムで紹介しますが、仲卸の破産の場合には、築地市場で営業する権利、通称「営業権」という権利の売却が争点になります。破産になると都条例により営業権譲渡ができませんので、先ず保全管理人になって営業権を売却し、その後に破産決定、すなわち私は破産管財人に選任されることになります。
昨年、東京地方裁判所より、この保全管理人の制度をもっと効率的に運用したいとの話があり、通常の民事再生事件(後に破産事件に発展)において調査委員、保全管理人に選任されました。
 
  3 今後の動向は?
 
     現在、裁判所での倒産事件申立件数は爆発的には増えておりません(近時多少増加傾向)。中小企業金融円滑化法が効果をあげているという説もあり、破産事件の内容分析によると、そのように判断できるとも思います。因みに、当事務所における個人再生事件の現在の事件番号は700番の後半でありますが、昨年の同時期においては1100番台でありました。すごい減少率ですね。このアンバランスこそ、現在の社会・経済状況が「踊り場」にあることを示していると思います。しかし、来年春には、中小企業金融円滑化法の終了が予定されており、踊り場から、「良く」か、「悪く」か分かりませんが、激変するのではないでしょうか。
「悪く激変しない」ことを祈りながら、暫くの間は、体験した倒産関係事件を本コラムにてご紹介することにします。
 

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