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「宇宙開発とスマート農業は連携している」

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書評
  1.   小説家池井戸潤氏が書かれた「下町ロケット ヤタガラス」(20189月刊)を読んだとき、宇宙を飛ぶ人工衛星が、今後の農業に深く関係していると初めて知り、驚きました。でも2年程前のことで、現実的なこととして実感できておりませんでした。
     ところが最近の新聞報道で、これからの農業には宇宙開発が切り離せないものであることを知り、しかも現実化していることを知って、更に驚いたのです。
     新聞報道ですが、例えば、有機農家「金沢大地」という会社が紹介され、同社が金沢市の郊外において有機農業を展開し、現在では能登半島にまで耕作地を増やしている状況が報道されております。また、イチゴやリンゴ、稲作の工夫や養蜂等、農業に関係する報道も数多く、このような記事が、数多くの人に読まれることにも驚きました。
     今回のコラムを書きたいと思った経緯は、スマート農業に人工衛星が役立つと知ったこともあります。弁護士になった頃、知り合った宇宙開発の会社(残念にも無くなっております。宇宙開発が事業として成立しない頃のことです)の方々に会った際、「役に立ってますね」と、お互いに喜べると思ったからです。
  2.  北海道におけるスマート農業の紹介報道によって、「下町ロケット ヤタガラス」を思い出しました。その中でも、「北海道 十勝 更別村」の報道で、無人トラクターが出てきます。
     現在の日本農業が危機に直面していることは皆さまご存じのことです。農業人口の減少と老齢化は、新聞報道を見るまでもありません。それを防ぐスマート農業に欠かせない課題が無人トラクターだというのです。無人トラクターが何故必要かは新聞報道だけでなく、「下町ロケット ヤタガラス」を読んでください。ページに限界があるのですが、多少紹介しましょう。
     農業人口の減少と老齢化を防ぐには無人トラクターが必要なのです。
     確かに、農業従事者の平均年齢は67歳を過ぎております。畑や田んぼの農耕(開墾、田植え、刈り取り、運搬等)を無人トラクターが人力に代わってやってくれるなら、大助かりです。しかも肥料や殺虫剤等も無人トラクターがやってくれるなら、人力は殆どかからなくなります。大自然の中で、緑に包まれ、鳥の鳴き声を聞きながら、無人トラクターのやってくれた仕事をチェックしていればいいなんて、子供のころ、農業の手伝いをしていた私には「楽しすぎでしょう」などと悪口も言いたくなります。
     このようなスマート農業が定着すれば、泥臭い肉体労働が減少するのですから、若い人も農業に従事してくれるようになるでしょう。
     無人トラクターが、廃れた農業を回復させるのです。
  3.  でも、無人トラクターの業務は大変なのです。
     田や畑は、畝があり、高低差があります。しかも水をやったりして泥まみれの土地もあり、肥料や消毒剤も的確な地点に入れねばなりません。しかも、田や畑の土地は、トラクターの重みで地形が変わり、一度通ると変化するらしいのです。
     トラクターは、このような微妙な土地の状況に合わせて移動し、しかも誤差なく開墾、田植え、刈り取り、肥料散布をしないといけません。そこで人工衛星が登場するのです。人工衛星の指示により数センチ(?)の誤差もなく田植え、耕作、刈り取り、水やりをし、肥料をやるようにするというのです。すごすぎますね!
     私には知識がありませんので、「完全無人のトラクターで社会課題を解決 自動化で変わる日本の農業の姿」と題されたネット記事から引用させていただきます。
      「農林水産省では3段階のレベルを規定しており、自動車メーカー同様に各農機メーカーがそれぞれに試行錯誤しながら研究開発を進めている段階だ。(略)ただ、いまだレベル3の無人運転にはたどり着いていない。われわれはクボタにGPUが搭載された組み込みボードを提供しつつ、どのようなAIを載せるのか、コンサルティングを交えつつ進めており、レベル3の達成はすでに技術的には可能と考えている。クボタでは2030年を実現目標に掲げているが、実際にはもう少し早くできるのでは・・」と記載されています。
  4.   実は、「下町ロケット ヤタガラス」という本の紹介もしたかったのですが、書くことが多すぎます。
     でも、この本を書かれた下敷きとなる知識が、北海道大学教授野口伸先生の研究にあることを紹介したいのです。先生は、北海道大学のビークルロボティックス研究室にて農業ロボットに関する研究開発をされているそうです。先生のお話を紹介します。
     「ICT(情報通信技術)やロボット技術などの先端技術を用いた農業のことは、日本では『スマート農業』という用語で広く知られています。『スマート農業』を導入することで農業の姿は大きく変わります。農家の経験と勘に依存した農業から『データに基づく農業』への転換は、新規就農者の促進にも有効であるため、ICTやロボットを高度に利用した農業のスマート化は日本農業が抱える問題を解決するうえで極めて重要なのです。」
  5.  最後になりましたが「下町ロケット ヤタガラス」という本は、本当に面白いですよ。私には、下町工場の苦闘や農業の抱える問題以上に、現実に帰農した元サラリーマンの出くわす苦闘の場面が本当に面白かった。
     是非、読んでいただきたいと思いました。

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