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有機農業 農業は本当に難しい

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所感
  1.   前回までのコラムで「農業に関する思い」を書いてきましたが、“農業が本当に難しい事業”であることについて、今回、改めて認識しました。国が、有機農業を推進していることは知っておりましたが、国の進める方針を巡っても争いがあるなど、全く知りませんでした。
    そもそも有機農業を行う農地が
    2018年時点で僅か0.5%にとどまるとか、有機農産物認定事業者が20069月時点で5104戸しかないと聞いて本当に驚きました。
    今後は、有機農業について、改めて認識すべく努力致します。
  2.  そもそも今回書きたいと考えていたことは、2007年当時、世間を震撼とさせた「牛肉虚偽表示事件として有名な“ミートホープ事件”」でした。この事件は、食料に関しても不正競争防止法や詐欺という刑事事件に発展することを示す事例です。でも有機農業に対する関心が“ミートホープ事件”を上回ってしまったのです。
    まず国の有機農業に関する姿勢から見ていきましょう。
    有機農業について、これまで政府内でも種々議論されてきました。2000年に日本農林規格(いわゆるJAS規格)ができた経緯もありますが、2006年、「有機農業の推進に関する法律」が制定されました。これを受け、2007年、「有機農業の推進に関する基本的な方針」が公表されたのです。これにより有機農業が法律によって推進されることになりました。有機農産物の定義から見てみましょう。「生産から消費までの過程を通じて化学肥料・農薬などの合成化学物質や生物薬剤、放射性物質、遺伝子組換え種子及び生産物等をまったく使用せず、その地域の資源をできるだけ活用し、自然が本来有する生産力を尊重した方法で生産されたもの」としています。
    これを読むと、素晴らしい農産物が食べられると思ってしまいます。
  3.  では、何が私を不安にさせたのでしょうか?
    有機農法では、収穫量が著しく低いということが先ず障害になるようです。生産量を奈良時代と比較するものもありました。確かに有機農法は化学肥料等使わないのです。明治時代と比較されるだけでも唖然としてしまいますが、大昔に戻ってしまう可能性があると言われると、そうかもしれません。でも、最近、農耕用機械であるトラクター等を有機農業に採用しようという報道や、有機農業用に建てるパネル小屋の工夫の報道もありました。これらは有機農業を支援しようという企業の戦略でもありますが、しかし、如何なる発想であっても、変わっていってほしいと思います。
    でも次のような自然界の仕組みについては、経験値から探求し、工夫していただくしかないと思います。
    その例の一つをあげておきます。「無農薬や低農薬農法を用いた結果、病害虫防除が不十分だと病害虫に抵抗するために、植物自体が作る天然化学物質の方が残留農薬などよりも遙かに毒性が強い」という科学者の報告です。
    自然界の仕組みは、我々に容易に分かるものではありません。例えば、こんな報道もありました。食料増産を目指す北朝鮮で、限界まで農地の開墾を進めた結果、山々の保水力が失われ、土砂崩れが頻発しているというのです。また、和歌山県の梅干し生産が大苦戦の原因は、満開期に受粉を担うミツバチが低気温のなかで元気に飛び回らなかったからだと朝日新聞の天声人語に出ておりました。思わず、このコラムで取り上げた「銀座のツバメ」が銀座に帰ってきた原因は、餌となるミツバチの養殖が行われたことにあるという昔の報道を思い出しました。
  4.  自然界の仕組みは、私の理解を越えております。でも、有機農業に携わる皆様にエールを送りたいと思います。農水省も本年5月「みどりの食料システ戦略」をたて、有機農業を推進する方針を出しております。有機農業が盛んで、環境問題を先に行く欧米に後れを取ってはならないという「国の思惑」に対する政策批判については、一時、保留にしておき、応援したいと思います。
    つい最近、広島県の県立西条農業高校が「宇宙農業」の研究を続けているとの新聞報道がありました。具体的には、火星での農業施設の建設や宇宙での野菜栽培を研究しているとのことです。30年程前、宇宙開発の顧問先から種々の夢をいただきました。でも西条農業高校の研究を夢と言ってはいけません。是非、頑張ってもらいたいと思います。
  5.  冒頭に紹介しました“ミートホープ事件”について概要だけでも触れておきます。
     2007年当時の「牛肉虚偽表示事件(牛肉ミンチ偽装事件)」には、皆様、大変ご立腹されたと思います。私も前回のコラムでも述べましたように牛肉には特別の思い入れがあります。牛肉100%だと表示しながら、豚肉や鶏肉等を混ぜていたというのです。それも消費期限切れの肉やパン等も混ぜていたという卑劣な事件です。
    元役員の内部通報によって、上記の不正が明らかになったという当時としては珍しい事件です。ミートホープ株式会社自体は、破産によって終結し、不正競争防止法違反等の適用はありませんでした。しかし、会社の代表者である社長は、不正競争防止法違反及び詐欺罪で起訴され、懲役4年の実刑判決を受けております。
    最初に述べましたとおり、農水産物に関しても、企業法の典型とも思われる不正競争防止法違反の適用がなされることについて紹介する予定でおりました。しかし、食の安全というテーマから言いますと、有機農業を題材にして良かったなと考えております。

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