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退去を求められた場合に貰える金額と明渡し請求をする際にかかる費用(立退料の相場)

カテゴリ : 
借地借家
  1.  当事務所が数多くの立退案件を取り扱っていることは、これまで様々なコラムでお話ししています。
     借地借家法が存在しているため、家賃滞納がない普通借家契約の場合、明渡しの条件として、立退料の支払いが必要になることが一般的です。
     もちろん、当事務所においては、賃貸人から依頼された際には
    立退き料0円で解決していることもありますし、賃借人から依頼された際には立退き料として月額賃料の数百ヶ月分を受領して解決したこともありますので、一般論が全て当てはまるわけではありません。
  2. 今回も近時の裁判例を紹介しておきますが、貸主とすれば、しっかり準備をしないといつまでも明け渡してもらえないということになりますし、借主からすれば、立ち退きを求められたとしても、しっかりと準備をすれば自らの利益を守り、立退料を請求することができます。
     いずれにせよ、早めに当事務所にご相談いただくことが肝要だと思います。

立退料

平成29年7月18日東京地裁判決

972万5636円

 

建物について地震により倒壊する危険性があり、建替後の建物の一部については原告代表者の家族又はその親族が自己使用する理由があること、借主が本件理髪店として自己使用する必要性が高いこと等を理由とした上で、固定資産税評価額を基準に、借家権価格を647万2892円と算定した。また、平均利益の3年分の利益相当額である325万2744円を営業補償額とした。そして、それらの合計額を立退料とした。なお、設備及び什器備品等については、減価償却を終了しているので、立退料に含めなかった。

立退きが認められず

平成29年10月19日東京地裁判決

正当事由なし

賃借人は、本件建物において約15年間にわたって洋服のリフォーム店を経営して収入を得ていること、一定数の固定客を有し、周辺住民等に店の存在が認知されていることが推認できること、年齢や経営規模を考えると、移転により経営上相当の負担を負うこと、駅に近く、国道に面しているという本件建物の立地が、洋服のリフォーム店という業態にとっても客を呼び込む上で有益であること等を理由に、明渡し請求を認めなかった。

立退料

平成29年12月25日東京地裁判決

601万7000円

 

本件店舗の移転補償等の額を積算した移転補償額と、本件店舗の借家権価格をそれぞれ算定し、これらを比較検討して適正な立退料額を決定した。
移転補償額の算定に当たっては、公共事業の損失補償基準(用対連基準)を援用して、本件店舗の契約形態に即して動産移転費用、内装・設備の工作物補償、比準賃料との差額賃料の2年分相当額、敷金等の移転一時金、移転雑費、移転に伴う2か月分の営業休止補償をそれぞれ算定して積算し、移転補償額を498万8000円と査定した。
借家権価格の算定に当たっては、敷地価格に建物価格を加算した積算価格に借家権割合を乗じた額により算定する割合法と、上記積算価格から収益価格を控除して算定する自建貸家差額法の2方式により本件店舗の借家権価格を試算し、各算定手法の特性等を検討した結果、割合法を重視して借家権価格を601万7000円とした。

立退料

平成30年1月26日東京地裁判決

50万円

建築後40年以上が経過していること、本件共同住宅の耐震性その他の状況から、新規の賃借人を募集することができないでいること、そのまま放置すると、貸主の損害が拡大する可能性があり、損害の拡大を防ぐために、本件共同住宅を取り壊すことを計画していること、借主は、サービス付き高齢者向け住宅に実質的な生活の本拠を移しており、本件建物を居住として使用していないこと、本件共同住宅の近隣において、本件建物と同程度の賃料、床面積、設備(トイレ付き)の建物は、他にも存在することが認められること等から、立退料を50万円と判断した。

立退きが認められず

平成30年2月14日東京地裁判決

正当事由なし

賃借人である自己使用の必要性が極めて高いのに対し、賃貸人の自己使用の必要性がほとんどないこと、相応の経年劣化が見られるとしても、建て替えの必要性が生ずるに至っているということはできず、せいぜい近隣に位置する建物と同程度であるか、仮にそれより劣るところがあっても、その原因は建物の保守管理を十分に行ってこなかった賃貸人側にある以上、これを賃借人側に不利益な要素として過大評価するのは相当ではないこと等を理由に、明渡し請求を認めなかった。

立退きが認められず

平成30年2月21日東京地裁判決

正当事由なし

本件コーポはもともと共同住宅として賃借することが予定された収益物件であったのに対し、賃借人による本件建物の使用上、契約上の賃借条件(居住用限定、居住専用)と異なる使用(事務所としての使用)を一部含むものの、その使用実態は、コーポの他の居室の居住目的による使用収益を損なうようなものではなく、当時の賃貸人の承諾も得ていたのであるから、本件賃貸借契約上の用法違反があったと評価することはできず、本件建物の明渡請求の正当事由とすることはできない(貸主の請求は認められない)と判断した。

立退料

平成30年2月22日東京地裁判決

802万1000円

以下①~⑤の合計額を立退料とした。

① 家賃差額補償67万1000円
 近隣の賃貸事例をもとに試算した代替建物の賃料12万2000円の1年分と本件賃貸借契約の賃料10万3000円の1年分との差額である22万8000円に複利年金減価率2.9410を乗じたもの
② 一時金補償46万円
 代替建物の賃貸借契約締結時の敷金として賃料12万2000円の5か月分から現在の敷金15万円を差し引いたもの
③ 移転費用補償405万円
 設計・監理料、新規内装工事費用、新規什器等購入費用、引越費用等を合算したもの。
設計・監理料については1㎡当たり1万円と、新規内装工事費用については1㎡当たり4万円とした上で、被告賃借部分の面積33㎡を乗じて算出したもの、新規什器等購入費用については、同業種の新規開業に関する資料をもとに算出したもの、引越費用は業者からの見積り等をもとに算出したもの
④ 諸経費の補償57万2000円
 仲介手数料、弁護士費用、登記費用、移転通知費用及び各種届出費用等の概算額
⑤ 営業補償(移転に係る営業損失)226万8   000円
過去3年の理容店の差引金額378万円に営業損失として20%を乗じた上でその3年分として算出したもの

立退料

平成30年3月7日東京地裁判決

1556万4000円

借家権の取引について、一般的とはいいがたいといった事情も踏まえると、本件の立退料の算定に当たり、借家権価格を加えることは相当といえないとした上で、収益減補償299万円、得意先損失補償703万7000円、固定経費補償2万4000円、従業員の休業補償49万5000円、移転費用等の補償費501万8000円の合計額を立退料とした。

立退き

平成30年5月18日東京地裁判決

1730万円

借家権価格1200万円と移転費用等の雑費530万円(内訳:①動産移転料(引越費用)26万8500円、②内部造作等の移転料300万円、③移転通知・移転旅費等の補償額150万円、④移転先選定に要する費用22万3290円、⑤法令上の手続に要する費用8万2245円、⑥移転に伴う就業不能による損失補償額20万2400円、⑦消費税等相当額2万4220円)合計額を立退料とした。

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以 上

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