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整理回収機構(RCC)職員との邂逅ー金融ADRの帰りに

カテゴリ : 
金融取引

 

1 不思議な縁
 
(1)  今回は法律上の事件紹介というより、不思議な人との出会いと、その延長に登場する整理回収機構不動産部について話してみたいと思います。同機構が活躍した時代、同機構顧問弁護士は法曹家にとって特別に複雑な感情をもたれる対象でした。弁護士の少ない当時にあって、同機構には、最盛期に800名以上の弁護士が関与しました。不良債権の回収ということだけではなく、金融機関の再編に多大な貢献をした事実は誰でも認めざるをえないでしょう。
ところで私は、東京駅で偶然に、かって一緒に働いていた同機構の職員と4回も遭遇しております。では毎日利用している新宿駅で知り合いに何回会ったことがあるのだろうかと思い出してみました。たった3回しかありません。東京駅など一カ月に数回程度しか利用していないのに同機構の関係者に偶然に出会うというのも不思議な縁です。
 
(2)  今年始め、丸の内にある全国銀行協会のADR(裁判外紛争解決手続)での帰り、その方とは東京駅通路でばったりお会いしました。懐かしくて互いに大声で久闊を叙しました。その方は、大手銀行より整理回収機構不動産部に派遣され、私と一緒に働かれた後は銀行に戻って活躍されておりました。不動産関係の業務に戻られた方はよくお会いするのですが、その方は本来の銀行業務に戻られており、あまりお会いする機会がなかったのです。その後、その方の同僚であった方より聞きましたところ、その方は為替デリバティブ関係の仕事もされていると聞きました。その日、私は当事務所所属弁護士と一緒に為替デリバティブ取引(通貨オプション取引契約)の中途解約清算金及び未払差額決済金の支払い義務を全額免除にするという、これ以上にない和解を勝ち取り、意気揚々と引き上げる最中でした。あっせん委員会委員には、当事務所の仕事ぶりを褒めていただき気分は高揚しておりました。
 
 (3) その日、私の高揚ぶりの一切が、その方に伝わっていないということは私の誇りとすることです。しかしその反対に、その方の苦衷が想像され複雑な気持ちになりました。為替デリバティブ取引・仕組債の被害は現在も深刻であるという新聞の記事を見るにつけ、その方の業務の厳しさを思います。私の故郷・兵庫の名も上がっており、金融機関は厳しく膿を出さなければ、その将来が心配です。
 
2 整理回収機構について
 
(1)       いまから10年以上も前になりますが、私は同機構の専務の面接を経て同機構の不動産部及び総務部の顧問に採用されました。当時より不動産部は専門家集団で、大手不動産会社社員だけでなく銀行からも多数出向してきておりました。
当時の専務の話によりますと、今後、現在の不動産部を拡張し、不動産関係の業務を集中させ、「大」不動産部に発展させたい。しかし現在、弁護士の関与が不十分です。不動産部を統括する君の好きなように活動してくださって結構です。大変でしょうが頑張ってやって下さいという説明がありました。確かに初日、不動産部次長から入社試験のような面接を受けてびっくりしました。私の昔の不動産会社勤務の経験が活きましたが、弁護士である私には余計な話であり、大変不愉快だったことを覚えております。
 
(2)       毎日、不動産部のある中野坂上にある高層ビルに社員と全く同じように通うことになりました。当初は、職員と弁護士の上下関係等が曖昧でした。弁護士が殆どの業務上の決定権を持ち、職員の上司として活動しておりました。後に、弁護士と職員との関係が切断され、通常の会社のように業務が分かれていきましたが、私の入社当時はその過渡期にありました。
例えば、私は不動産部部長の隣に大きなデスクを持ち、前には八つの島に担当部門を分け、それぞれ班長をヘッドにして10人程度の社員が座っており、一番右には不動産鑑定士を有する業務班がありました。しかし遠く離れていてよく分からない程でした。
 
(3) 不動産部は、破綻した金融機関の所有する不動産処分をメーンとして業務を行っておりました。巨大不動産の処理も当然にありました。仙台にある「青葉城」に関係する断行の仮処分も同機構でなければできなかった案件でした。暴力団の方だけでなく、政治家からも始終電話がありました。職員の誰もが組織の改編を目標として活躍し、公正性を誇りにして業務に従事されていたことは間違いありません。私が顧問となっている不動産会社も平等に入札しましたが、同機構から一つとして買受けできませんでした。
 
3 本コラムで話したかった動機
 
今回の為替デリバティブ取引に関与している金融機関の方で、同機構で働かれた経験のある方には大変辛い業務だと思います。今回の為替デリバティブ取引は、販売している金融機関の職員にも細部の説明が困難であったのですから、本当に苦しまれていることと判断できます。私がこの話をしたいと思った動機は、同機構において誇りある業務をされていた方々には、説明義務も果たせなかったこのような取引が二度となされないように頑張っていただきたいということです。
そのためには強い気持ちで金融機関の在り方を変えようというような昔の気持ちを思い出してほしいと思います。
これが今回どうしても話したいと思った私の気持です。

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