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「鳩やスズメ、野良猫に餌をやってもいいか」という相談

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法律相談

 1 弁護士を業とするせいでしょうか、友人から「女房が、野鳩やすずめに餌をやっているが、大丈夫かな・・」というような友人間の会話の形での相談は、実は多いのです。この質問は“法律相談なのかな”と迷うような会話を頻繁に経験してきました。

  本年6月に施行された「動物の愛護及び管理に関する法律」(改正動物愛護管理法)に関係する相談めいた会話も近時経験しました。なんでも関東の古都である鎌倉は、野良猫がたくさん闊歩しているらしいのです。大先輩から“餌をやっているうちに、一匹が本当に可愛くて。連れて帰って飼いたいんだけど・・”という趣旨のお話しがありました。当然、上記改正法の内容や鎌倉市の条例についてもチェックし、関連するものとして、神奈川県条例を見つけました。

今回、大阪市条例に反対する弁護士の先生の論文も読ませていただきました。先生は「THEペット法塾」の代表までされておられました。動物を愛する者の一人として、大先輩や弁護士の先生には、私の分まで頑張って頂きたいと思っております。

2 今回は、“野鳩やすずめ、或はカラスに餌付けをしていいのか”、“野良猫や野良犬を飼っていいのか”をコラムの題材にしようと準備を始めておりました。ところが、本年の直木賞受賞作「少年と犬」(著者馳星周 文芸春秋発行)は、野良犬と人との遭遇による物語なのです。それも仙台から熊本まで旅をする犬と各地における人との出会いをテーマにしております。更に、何と!本年芥川賞受賞作「首里の馬」(著者高山羽根子 文芸春秋9月号)は、野良馬(宮古馬)を飼い始める話なのです。

  書き始めてびっくりしました。書きたいことが多すぎるのです。従って、野良猫や野良犬は次回送りにせざるをえません。

3 今回はハト、カラス、ツバメを題材にしましょう。

30数年にわたってお付き合いしている友人から、「嫁いでいる私の娘が、嫁ぎ先のアパートの傍で、鳩に餌をやっているが大丈夫でしょうか」という相談を受けました。

私は、30年近く前、相談者の故郷、日本アルプスの山の中の実家に連れて行っていだだき、本当に楽しい日々を送らせていただいた経験があります。イワナ釣りのため、渓谷に分け入った対岸にシカがいました。30年ほど前は、今ほど野生動物が跋扈しておらず、鹿との共存など想像しておりませんでした。驚いたと感想を言ったところ、「野生のサルもイノシシもクマもいるよ」と普通のように言われました。

このような環境が普通の生活になっているのであろう娘さんに何を言えばいいのでしょう(野鳩やスズメが可愛いのは当然ですが、餌やりには必ずカラスも付いてくるけど、敢えて話題にしていません)。

でも私は、次のようなお答えをしております。

会話形態にしましたが、要約です。「ハトやカラスの糞で真っ白になった道路を見たことないですか。やはり薄汚いという印象を受けますよ。残された餌や、ビックリするほどの鳴き声を含めて、環境破壊だという近隣住民は多いようです。彼らの要望に応えるために、条例で対応しようという動きも増えました。東京も種々の地区で既に対応しております。地域によっては罰金を課すというような条例も出てきました」、「でも大切なことは、娘さんの住環境ですよ。とにかく近隣住民との紛争は避けるように言ってください。心の平穏が揺さぶられる事件になることだけは避けてください」とアドバイスしました。

私は、つい3か月前のコラムで「カラスは飼えるか」(松原始著・新潮社発行)という本を紹介したほどですから、娘さんを応援したいのが本音です。でも近隣紛争は本当にしんどいのです。10年程前のことですが、互いが警察を呼び合うような事件に発展した経験もあります。相談者は賃貸物件居住者でしたから、引っ越しして終わりました。

4 本コラムで紹介したいと思い、新宿御苑に行って、鳩やカラスの様子を見てきました。

実は、30年近く前、当事務所で破産申立てをされた方々で、申立ての直後に行き場のない人達に、当事務所の机に一日中座っていてもらうことが何度かありました。紛争が落ち着くか、次の仕事を見つけられると、私の事務所を卒業されることになります。

その際、通例のこととして、事務所の前に位置する新宿御苑内のベンチに座り、緑濃い木々や、鳥たちを見ることが多かったのです。ハトに餌やりをしている人たちも何度か見ました。餌のやり始めは、猛烈な数の野鳩が廻りを囲みますが、その外回りをカラスが囲むのです。そのうち少し飛び上がってハトに襲いかかり、ハトの囲みを突破するカラス達を見ていて、凄い戦いだと驚き、怖くなることもありました。

でも、最近は餌やりを禁じているのでしょうか、鳩は殆どいません。カラスは、芝生に座られているご婦人方と全く同様に、伸び伸びと休んでおりました。野鳩が増えたというネット情報とは違いました。

5 でも、ツバメは本当に見なくなりました。

私の大学時代の友人で、絵描き仲間の金子凱彦君が、長い間調査し続けたツバメの巣作り報告書である「銀座のツバメ」という本(学芸みらい社出版)を出版したことがあります。ツバメは、人を用心棒にして巣作りをするため、銀座は“ひな育て”に最適であると知り驚きました。この本は、当時、随分売れたようで入手に苦労したものです。

金子君の最近の活動状況をネットで調べたところ、今年は、ツバメが銀座に数カ所巣を作っているのだそうです。その講演会のお知らせがあり、“頑張っているな”と感激しました。

同じく友人の五十嵐茂君が、今年の春、駅の天井に巣を作ったツバメの巣を守るため、巣の下に「工事中」の標識を出して囲みを作った駅の対応を評価し、コラムを書いております。その標識の傍に出店する駅売店の女性を応援するため、度々、買い物に行っているようです。

去年の秋、五十嵐君と新宿のお寺巡りをしましたが、太宗寺でたむろする猫を紹介しました。

6 次回は、直木賞受賞作「少年と犬」を中心にして報告します。

 

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