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新型コロナウイルス感染対策でテレワーク(リモートワーク)を導入する方法と法的な注意点

1 新型コロナウイルスの感染対策として、テレワーク(リモートワーク)の導入が推進されています。テレワークを実施した労働者が1人以上いる場合には、①テレワーク用通信機器の導入・運用、②就業規則・労使協定等の作成・変更等に対し、上限100万円(補助率2分の1)の助成金を受けられる制度も始まっています。

2 テレワークの形態には、概ね、①在宅勤務、②サテライトオフィス勤務、③モバイル勤務があります。 まず、テレワークにも労働基準法が適用されますので、テレワークを導入する際には、雇用契約における就業場所としてテレワークを行う場所を明示しなければなりません。(モバイル勤務の場合は、就業場所についての許可基準を示した上で、「使用者が許可する場所」といった形で明示することも可能です。) テレワークの実施とあわせて、始業及び終業時刻の変更等を行うことを可能とする場合は、就業規則に記載するとともに、その旨を明示しなければなりません。

3 テレワークの場合も、使用者自ら、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を確認し、適正に記録することが原則です。例外として、労働者の自己申告制による場合であっても、自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をする等の措置を講じなければなりません。

4 テレワークで生じやすい問題点として、「中抜け時間」がありますが、 労働者が労働から離れ、自由に利用することが保障されている場合には、休憩時間や時間単位の年次有給休暇として取り扱うことが可能です。一部の勤務時間だけでテレワークを行っている場合の移動時間については、使用者の指揮命令下に置かれている時間であるか否かにより、労働時間になるか、休憩時間になるかが変わります。テレワークを行う労働者についても、労使協定により、休憩時間の一斉付与の原則の適用除外とすることが可能です。

5 ①情報通信機器を通じた使用者の指示に即応する義務がない状態で、②随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていない場合(業務の目的、目標、期限等の基本的事項を指示することは除く)には、労働基準法第38条の2で規定する事業場外労働のみなし労働時間制を適用することも可能です。

6 時間外労働については、事前申告し使用者の許可を得なければならず、かつ、その実績を事後報告しなければならないという就業規則等になっているにもかかわらず、労働者から事前申告がなかった場合又は事前申告内容が許可されなかった上に、労働者から事後報告がなかった場合で、一定の要件に該当する場合、当該労働者の時間外等の労働は、使用者のいかなる関与もなしに行われたものであると評価できるため、労働基準法上の労働時間に該当しません。もっとも、使用者が時間外等の労働を知り得なかったことや上限時間が設けられていないこと等が要件なので、注意が必要です。

7 長時間労働対策として、①時間外、休日又は深夜におけるメールを送付することの自粛を命ずること、②外部のパソコン等から深夜・休日はアクセスできないよう設定すること、③時間外・休日・深夜労働を原則禁止とすること又は使用者等による許可制とすること、④長時間労働が生じるおそれのある労働者や、休日・深夜労働が生じた労働者に対して、労働時間の記録や、労務管理システムを活用して注意喚起を行うことなどの措置を図ることが必要です。

8 テレワークに要する通信費等の費用について、労使のどちらが負担するか、また、使用者が負担する場合の限度額等については、就業規則等において定めておくことが必要です。

9 以上の通り、新型コロナウイルスの感染対策として、テレワークを導入する方法と注意点を説明いたしました。新型コロナウイルス問題がいつまで続くか分からない中、テレワークの導入は非常に重要な選択肢の一つですが、テレワークに潜む法的な問題点が多数存在することも事実です。テレワークを導入する際には、就業規則等の変更が必要になると思いますので、当事務所にご相談頂いた方が良いと思います。紛争が生じてしまった後では遅い場合も多いので、早急にご相談いただいた方が良いと思います。                                         以 上

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