新宿の顧問弁護士なら弁護士法人岡本(岡本政明法律事務所)
当事務所では、上場企業(東証プライム)からベンチャー企業まで広範囲、かつ、様々な業種の顧問業務をメインとしつつ、様々な事件に対応しております。
営業秘密や機密情報を持ち出されたり、顧客を奪われたりする等の競業行為をされた場合に損害賠償請求を認めさせる方法(その14 不正競争)
- カテゴリ :
- 情報管理・不正競争
一. これまでも複数のコラムの中でお話ししている通り、当事務所は、営業秘密や機密情報を持ち出されたり、顧客を奪われたりする等の競業行為をされた場合に交渉、訴訟や刑事告訴などを行い、多数の成果を挙げています。
また、平成31(2019)年1月23日、経済産業省が営業秘密管理指針を改定した際には、当事務所が勝訴した判決が「参考裁判例」として掲載されています。
このことは、いかに当事務所が、営業秘密の持ち出しや情報漏洩・情報流出、競業行為などの不正競争に関し、豊富な経験があり、得意としているかを表していると言えます。
当事務所は、依頼者のために手間を惜しみません。
二. 終身雇用制が限界を迎え、雇用が流動化し、従業員や役員(取締役・監査役)の転職などが一般的になりつつある中、情報漏洩や競業行為に関し、当事務所にご相談いただいている案件数も増えております。
近時の裁判例をご紹介しますので、退職した元従業員や取締役等への対応の参考にして頂き、当事務所にご相談ください。
近時、社会的に営業秘密漏洩が問題視されていることから、情報が重要であり、元従業員が秘密として管理されていることを認識していた場合には、アクセス制限が不十分であること等の事実があったとしても、損害賠償請求が認められている裁判例が少なくありません。
損害賠償請求事件 平成29年9月20日東京地裁判決 |
295万8300円 |
専務取締役として書店システム部門を統括する立場にあったこと、月額賃金100万円とする雇用契約を締結していること等を理由に競業避止義務を定める就業規則を有効とした。 元従業員が、ブログやサイトで上司によるパワハラ、退職勧奨の名目での解雇、解雇予告手当や退職金の不支給があったことを記載したことが信用毀損と判断され、架空の売り上げを計上したことが善管注意義務違反と判断された。 |
損害賠償等請求 平成29年10月19日大阪地裁判決 |
500万円 使用・開示の差止め 複製物の廃棄 |
客観的にアクセス制限の措置が講じられていたこと、誓約書を提出させていたこと、秘匿の必要が高い情報であること、消去データの復元・解析が困難となるような方法で消去していること等から、営業秘密であると認めた。 パスワードが設定されておらず、複製・保存することが自由であったとしても、元従業員が当然に秘密として管理されていることを認識していれば足りると判断した。 |
損害請求等 平成29年10月27日東京地裁判決 |
2694万1631円 |
防犯カメラシステム事業の責任者であり、元請2社から下請業務を受注すべく、元請2社との打合せや下請業務の準備を行ってきていた以上、雇用者の営業上の利益に反する競業行為を差し控えるべき競業避止義務等を負っていた。 それにもかかわらず、元請2社と交渉を行い、元請2社と被告会社との下請契約を成立させたことが不法行為であると判断され、逸失利益が損害賠償請求として認められた。 |
差止請求等 平成30年1月19日東京地裁判決 |
販売行為、販売行為を行う法人に対する事業資金提供行為、支払保証行為及び取引先の紹介行為の差止め |
営業秘密であるとは認められなかったものの、取締役として営業を中心的に担っており、取り扱う製品の商流や取引先等も熟知していたこと、本件交渉の過程においては、競合する会社の設立をしないことを申し出たこと、合意書に違反することを認識しながら競業をしたこと等を理由に、競業避止義務に関する合意書の有効性及び差止請求権を認めた。 |
損害賠償請求事件 平成30年3月5日大阪地裁判決 |
①318万6491円 ②174万円 ③46万円 ④52万円 |
本部において顧客情報を一元化してデータ管理しており、就業規則において顧客情報の開示等を禁止することに加え、退職従業員に対しても、顧客情報を漏えいしないことを誓約させるなど、規範的に管理していること、従業員らにとっても、それが秘密管理の対象とされるべきものであることは容易に理解し得ること、情報として重要であること、小規模の事業所なのでアクセス制限がなされていなかったとしても秘密でない扱いとは言えないこと等を理由に営業秘密として認め、被告の得た粗利益、違約金、弁護士費用等を損害として認めた。 |
損害賠償請求事件 平成30年 3月15日大阪地裁判決 |
①70万1250円 ②28万5050円 |
被告が元代表取締役であったこと、元代表取締役として、顧客情報が記録されたファイルにパスワードを設定する措置を自ら採っていたこと、業務受託者との契約書の中で、原告の企業秘密の漏洩を禁じていること、企業秘密の中には有用性と非公知性を有する顧客情報を含むことを想定していたと推認されること、誓約書を作成していること等から営業秘密として認めた。 |
損害賠償請求等事件 平成30年3月26日知財高裁判決 |
169万9467円 製造・販売の差止め |
就業規則で秘密保持義務を課し、情報セキュリティ教育を実施し、本件情報をいずれも秘密と指定し、社内ファイルサーバ内のフォルダにアクセスできる従業員を限定してること等から営業秘密として認めた。 アクセス権限のない従業員がアクセス可能な従業員からデータをプリントアウトしてもらうといった運用が業務上の必要に応じて行われることがあったとしても、これをもって秘密管理措置が形骸化されたとはいえないと判断した。 |
損害賠償請求 平成30年3月28日東京地裁判決 |
5471万3160円 |
プロバイダー事業等を目的とする株式会社である原告が、原告の元取締役兼営業本部長である被告において、原告の営業秘密に当たる顧客情報を不正に入手して競合他社に売却したと主張して請求した事案である。 顧客から多数の解約申出を受ける状態にあったこと、当時、被告は未だ逮捕されておらず他の競合他社に重ねて顧客情報を売却することが可能な状態にあったこと、プロバイダー事業に致命的な悪影響を与えるおそれがあったこと、総務省から漏えいした可能性がある顧客全員に対応するよう口頭で指示されたこと等から、顧客対応費用等の損害賠償を認めた。 |
以上