1. HOME
  2. コラム
  3. 民法改正
  4. 民法が改正されましたので、契約書の作成、又は見直して修正することが必要です(民法改正2)

新宿の顧問弁護士なら弁護士法人岡本(岡本政明法律事務所)

当事務所では、上場企業(東証プライム)からベンチャー企業まで広範囲、かつ、様々な業種の顧問業務をメインとしつつ、様々な事件に対応しております。

  • カテゴリ 民法改正 の最新配信
  • RSS
  • RDF
  • ATOM
アーカイブ一覧はこちら

民法が改正されましたので、契約書の作成、又は見直して修正することが必要です(民法改正2)

カテゴリ : 
民法改正
一 2020(令和2)年4月1日、制定以来約120年ぶりに、民法が改正されます。
 民法改正の内容は極めて広範に及ぶため、早急に契約書の作成、または契約書を見直して修正することが必要です。
 本コラムでは、契約書の修正等に関わる主な改正内容を説明させていただきます。

二 今日は、債権債務関係の入り口である債権総論の部分から入ります。
 まず、民法改正により、債務不履行による損害賠償請求の要件が明確化されました。
 これまでは履行不能の場合を除き、どのような場合に債務者が責任を負うのかが明確ではありませんでしたが、「契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由」による場合は、損害賠償責任が発生しないことになりました。
 なお、損害賠償の遅延損害金は年3%に変更されており、3年ごとに変動することになりました。

三 次に、民法改正により、契約解除に関する要件が大きく変わりました。
 具体的には、改正前は、債務者に帰責事由がある場合でなければ契約の解除をすることができないと解されていましたが、民法改正により、債務者に帰責事由がない場合にも契約を解除できることになりました(もっとも、債権者の帰責事由による場合は解除できません)。
 また、催告解除の場合には、「債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるとき」は解除できないことになりました。
 さらに、債務者に債務の履行の機会を与えても意味がない場合(例えば、債務者がその債務の履行をせず、債権者が催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかなとき)には無催告解除できるようになりました。
 このように、契約解除に関する考え方が大幅に変わりました。
 従来の契約書においては、債務者に帰責事由がある場合を念頭において解除に関する条項が規定されていると思いますので、改正された民法の規定も考慮した上で、契約書を修正する必要があります。

四 民法改正により、危険負担(売買等の一方の債務が債務者の責めに帰すべき事由によらないで履行不能となった場合に、債権者の負う反対給付債務がどのような影響を受けるのかを定める制度)に関する考え方も変わりました。
 例えば、建物の売買契約締結直後に大地震によって建物が倒壊した場合、民法改正前においては、買主は代金を支払う義務を負い続けることになっていましたが、民法改正後においては、代金の支払いを拒否できることになりました。
 危険負担に関する条文が規定されている契約書も多いと思いますので、注意が必要です。

五 民法改正により、瑕疵担保責任という概念が「契約不適合責任」という概念に変更になったことも大きな改正点です。
 これまで、瑕疵担保責任に基づく解除又は損害賠償請求については、特別な規定と考えられることもありましたが、民法の改正後は、上記二及び三で前述した「損害賠償請求」「解除」の内容がそのまま該当することになります(例えば、改正前には重要な事項であった“売主や買主が瑕疵を知っていたかどうか”ということは、改正後は、損害賠償請求や解除の要件ではなくなりました。もちろん、どのような品質の目的物を引き渡すことを内容とする契約であったのかを確定するためには重要です)。
 そして、「契約不適合責任」の場合には、損害賠償請求または解除だけではなく、追完請求及び減額請求をすることができるようになりました。追完請求権については、一次的には買主に選択権があり、減額請求権については、原則として催告が必要であるということも重要です(なお、売主に履行の追完の機会を与える必要がないような場合には、無催告で減額請求できると考えておくと良いと思います)。
 ここでのポイントは、今後は、「契約」に「不適合」かどうかがポイントになるため、どのような内容の契約なのかをしっかりと契約書に規定しておく必要があるということです。
 そして、「契約」に「不適合」の場合には、どのような効果を生じさせるのかについても、しっかりと明記しておくことです。例えば、減額請求権の行使により減額される代金額の算定方法を契約書に規定しておくことも重要だと思います。
 現在、皆様がお使いになられている契約書においては、このような点についてしっかりと規定されていないことが多いと思いますので、このような点についてしっかりと修正等することがポイントです。
 なお、契約不適合責任に関する権利行使は、契約不適合を知った時から1年以内に通知すれば足りることに改正されました(別途消滅時効はありますので注意が必要です)。

六 以上の通り、民法改正により、皆様がお使いの契約書にも規定されていると思われる「解除」や「債務不履行」等に関する規定が大幅に修正されましたので、今までの契約書を見直し、修正する必要があります。
 まだ契約書の作成が間に合っていない会社様の場合は、早急に契約書を作成した方が良いと思います。
 当事務所において顧問契約(月5万円)を締結して頂いている場合には、契約書の作成及び修正等について、別途費用を1円も頂かずに顧問契約の範囲内で対応しております(但し、契約書の「作成」については、量によって例外もあります)。
 これを機に顧問契約の締結も含めてご検討いただけると幸いです。
                                        以 上

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ:03-3341-1591

メールでのお問い合わせ:ご質問・お問い合わせの方はこちら

  • 閲覧 (38837)