新宿の顧問弁護士なら弁護士法人岡本(岡本政明法律事務所)
当事務所では、上場企業(東証プライム)からベンチャー企業まで広範囲、かつ、様々な業種の顧問業務をメインとしつつ、様々な事件に対応しております。
不動産が「負動産」となる場合の相続事件
- カテゴリ :
- 相続事件
1 相続法が改正されます。これを機会に改正相続法に関係するコラムを書こうと思いました。でも、今回の改正の目玉でもあります配偶者居住権の創設などを一つ一つ説明しましても、知識だけであり、それほど面白くないと思います。
そこで、私も驚いた体験を一つの課題として、その課題を中心にお話してみようと思います。
今回は、相続事件において、不動産がどれ位面倒になる可能性を秘めているのかについてお話しします。
2 困った事例の最初は、不動産にかけられる相続税で、この体験は 本当に多いのです。
相続事件に関する相談で、私の事務所所属の若い先生に指摘されたことがあります。私は、最初に面接した際、必ず現金の有無を確かめるそうです。もちろん、私は、「預金はどれ位残されていましたか」というように間接的に質問しているつもりです。つまり現金の有無を直接確認するような、失礼な質問はしません。でも、さすが弁護士の先生は見破っているのです。
相続財産が不動産中心というのは本当に多い事例ですが、その相続税はびっくりするほど高いのです。課税される不動産の概算価格は、国が作成している路線価表から調べればいいのですが、その概算を見ただけで、相談者は相続税が支払えるのかと心配になる事例は多いのです。特に、自宅の敷地が都心一等地で、ある程度の広さがある場合、しかし、相続財産がそれしかないような場合は本当に困りますね。遺産争いなどしている場合ではないと忠告したくなります。相続税の支払いの目途は、お亡くなりになって10か月です。税務署はうるさいですよ。
ここで大事なことは、必ず相続税に強い税理士に相談してください。土地や家屋の相続税については、種々低減できる評価方法や、特例などもあり、専門家の助言が必要な場面なのです。
3 山間部にある膨大な不動産が相続財産という事例も扱いました。
数年前ですが、私が「放棄できない不動産」というテーマで本コラムを書いていたところ、出版社や新聞社等から随分インタビューの申し込みを受けました。講演を依頼されたこともあります。このようなコラムを書き始めたのは、相続してしまった不動産をもてあまして、私も一緒に困惑した事件が多かったからです。
東京に住む私の依頼者は、故郷であっても、田も畑も、山の中の土地も不要でした。だからといって山間部・農村の土地は、売却も困難です。故郷の跡継ぎのお兄さんは、自分の自宅以外なら「どの土地でも風呂敷に包んで、どんどん持って帰って頂戴」と冗談を言われるのです。相続放棄も検討して、結局、少額の現金で妥協しました。この傾向はこれからも続くでしょうね。山間部の住民が激減しているのですから、地方公共団体の利用計画や観光地化など工夫がない限り、売却処分をして財産を分配することなど無理でしょう。
4 非上場の株式を相続する場合に困ったことがあります。
不動産を賃貸して相当な賃料を回収されている場合、このビジネス形態を法人化される手法は、種々のメリットがあります。
この非上場の少数株式を、同族と判断される方が相続した場合、驚くような相続税が課されることがあるのです。少数株主は少額の配当でも受けられれば感謝なのですが、同族と判断される相続人が相続されますと、少数株式の評価が資産、つまり不動産の時価にて評価されることになります。具体的な事例については、「少数株主」(牛島信著 幻冬舎文庫)という本を紹介しましょう。
この本では、大日本除虫菊(金鳥という蚊取り線香の会社)の少数株式を相続したおばあさんが、自己評価で500万円のところ、税務署に1億6000万円も課税され、争われた実例が出ております。
上記の本は、「非上場会社にコーポレートガバナンスを導入するべきだ」という理念のもとに書かれた本で、面白いですよ。
5 最後に、弁護士報酬が問題になる場合です。相続事件によくある
とですが、不動産が相続財産の殆どを占める事例です。
遺産分割請求事件や遺留分減殺請求事件の弁護士報酬は、通常、対
象となる相続分・遺留分の時価相当額とされております。相続の全体価額が数億円であっても、不動産が依頼者の相続財産の中心であって、金銭が殆どない状態で分割される場合、弁護士報酬を単純計算すると、報酬額が、依頼者の分配取得現金を上回る場合も出てくるのです。
このような場合、弁護士は本当に困ってしまいます。私は、このような場合を含めて当初の契約時に、弁護士報酬の考え方の基礎となる「経済的利益」について十分に説明するようにしております。しかし、それでも契約後に少数株式が出てきた場合もあるのです。
そこで、経済的利益について、依頼者の要求する請求額と事件の相手方が当方依頼者に提案している金額の差額とすることが分かり易いと考えております。しかし事件の内容によっては、相手方の要求額が分からない場合もあります。特に、遺留分減殺請求事件の場合には、依頼者に当該権利が認められるかどうかが争点になる場合もありますから、やはり、依頼者の請求額全額が経済的利益となってしまいます。上記のような遺留分減殺請求事件でしたが、争いのない部分を作り出し、一部を時価相当額の3分の1に計算し直して、依頼者に納得していただいた場合もあります。
今回はこの辺で。
そこで、私も驚いた体験を一つの課題として、その課題を中心にお話してみようと思います。
今回は、相続事件において、不動産がどれ位面倒になる可能性を秘めているのかについてお話しします。
2 困った事例の最初は、不動産にかけられる相続税で、この体験は 本当に多いのです。
相続事件に関する相談で、私の事務所所属の若い先生に指摘されたことがあります。私は、最初に面接した際、必ず現金の有無を確かめるそうです。もちろん、私は、「預金はどれ位残されていましたか」というように間接的に質問しているつもりです。つまり現金の有無を直接確認するような、失礼な質問はしません。でも、さすが弁護士の先生は見破っているのです。
相続財産が不動産中心というのは本当に多い事例ですが、その相続税はびっくりするほど高いのです。課税される不動産の概算価格は、国が作成している路線価表から調べればいいのですが、その概算を見ただけで、相談者は相続税が支払えるのかと心配になる事例は多いのです。特に、自宅の敷地が都心一等地で、ある程度の広さがある場合、しかし、相続財産がそれしかないような場合は本当に困りますね。遺産争いなどしている場合ではないと忠告したくなります。相続税の支払いの目途は、お亡くなりになって10か月です。税務署はうるさいですよ。
ここで大事なことは、必ず相続税に強い税理士に相談してください。土地や家屋の相続税については、種々低減できる評価方法や、特例などもあり、専門家の助言が必要な場面なのです。
3 山間部にある膨大な不動産が相続財産という事例も扱いました。
数年前ですが、私が「放棄できない不動産」というテーマで本コラムを書いていたところ、出版社や新聞社等から随分インタビューの申し込みを受けました。講演を依頼されたこともあります。このようなコラムを書き始めたのは、相続してしまった不動産をもてあまして、私も一緒に困惑した事件が多かったからです。
東京に住む私の依頼者は、故郷であっても、田も畑も、山の中の土地も不要でした。だからといって山間部・農村の土地は、売却も困難です。故郷の跡継ぎのお兄さんは、自分の自宅以外なら「どの土地でも風呂敷に包んで、どんどん持って帰って頂戴」と冗談を言われるのです。相続放棄も検討して、結局、少額の現金で妥協しました。この傾向はこれからも続くでしょうね。山間部の住民が激減しているのですから、地方公共団体の利用計画や観光地化など工夫がない限り、売却処分をして財産を分配することなど無理でしょう。
4 非上場の株式を相続する場合に困ったことがあります。
不動産を賃貸して相当な賃料を回収されている場合、このビジネス形態を法人化される手法は、種々のメリットがあります。
この非上場の少数株式を、同族と判断される方が相続した場合、驚くような相続税が課されることがあるのです。少数株主は少額の配当でも受けられれば感謝なのですが、同族と判断される相続人が相続されますと、少数株式の評価が資産、つまり不動産の時価にて評価されることになります。具体的な事例については、「少数株主」(牛島信著 幻冬舎文庫)という本を紹介しましょう。
この本では、大日本除虫菊(金鳥という蚊取り線香の会社)の少数株式を相続したおばあさんが、自己評価で500万円のところ、税務署に1億6000万円も課税され、争われた実例が出ております。
上記の本は、「非上場会社にコーポレートガバナンスを導入するべきだ」という理念のもとに書かれた本で、面白いですよ。
5 最後に、弁護士報酬が問題になる場合です。相続事件によくある
とですが、不動産が相続財産の殆どを占める事例です。
遺産分割請求事件や遺留分減殺請求事件の弁護士報酬は、通常、対
象となる相続分・遺留分の時価相当額とされております。相続の全体価額が数億円であっても、不動産が依頼者の相続財産の中心であって、金銭が殆どない状態で分割される場合、弁護士報酬を単純計算すると、報酬額が、依頼者の分配取得現金を上回る場合も出てくるのです。
このような場合、弁護士は本当に困ってしまいます。私は、このような場合を含めて当初の契約時に、弁護士報酬の考え方の基礎となる「経済的利益」について十分に説明するようにしております。しかし、それでも契約後に少数株式が出てきた場合もあるのです。
そこで、経済的利益について、依頼者の要求する請求額と事件の相手方が当方依頼者に提案している金額の差額とすることが分かり易いと考えております。しかし事件の内容によっては、相手方の要求額が分からない場合もあります。特に、遺留分減殺請求事件の場合には、依頼者に当該権利が認められるかどうかが争点になる場合もありますから、やはり、依頼者の請求額全額が経済的利益となってしまいます。上記のような遺留分減殺請求事件でしたが、争いのない部分を作り出し、一部を時価相当額の3分の1に計算し直して、依頼者に納得していただいた場合もあります。
今回はこの辺で。