新宿の顧問弁護士なら弁護士法人岡本(岡本政明法律事務所)
当事務所では、上場企業(東証プライム)からベンチャー企業まで広範囲、かつ、様々な業種の顧問業務をメインとしつつ、様々な事件に対応しております。
パワハラ問題に対して会社はどのように対処すれば良いか(労務リスクへの対応その1 ビジネス法務)
- カテゴリ :
- 労働事件
一. 今年ほどパワハラに関する報道が多い年もないのではないでしょうか。史上初のオリンピック4連覇を果たした伊調馨選手に対するパワハラにはじまり、ボクシング協会や体操協会においてもパワハラの問題が大きく報道されています。企業にとっても無視できるような社会情勢ではなく、パワハラを行っていたという報道がなされた企業が「炎上」してしまうこともしばしばです。
「炎上」してしまえば、会社としての信用力を大きく失墜させ、良い人材が集まらなくなり、企業としての競争力も低下させてしまいます。
法的にも、会社には職場環境に配慮する義務があり、損害賠償義務を負う可能性がありますが、それ以上にパワハラを甘く見ていると大変な目に遭う時代になってしまいました。
二. ところで、そもそもパワハラとは何でしょうか。
これほど大きく報道されている割に正確に理解している人は極めて少ないように感じます。
平成24年1月に厚生労働省のワーキンググループは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為である」と定義しました。
ここで重要なことは、キャリアや技能に差があり、実質的な影響力があれば、同僚の間や、部下から上司に対してであっても、パワハラが成立し得るということです。また、「職場」といっても、打ち合わせをする飲食店や宴会においてもパワハラが成立します。
三. 他方で、業務上必要な指導の場合、相当性を欠かない範囲であれば、相手がどのように感じたとしてもパワハラには当たらないということも非常に重要です。会社がパワハラ問題に対応しようとするときに、一番難しい問題がこの点です。
仮に業務上必要な指導までパワハラであると言ってしまった場合、上司は何も指導ができないことになってしまいます。一生懸命指導してもパワハラだといわれるのであれば、リスクを避けるために指導をしたくない、なるべく見て見ないふりをするという上司が出てくるのは当然のことです。これではまともな人材は育たず、まともな会社になりません。
要するに、会社とすれば、単に「パワハラはいけません」と言うだけではなく、具体的にどのような問題がパワハラとして問題になるのかを適切に把握し、どのような指導をするべきかをしっかりと認識していかなければならないわけです。
四. 厚生労働省は、パワハラを以下の6つの類型に分けています。
① 身体的な攻撃(暴行・傷害)
② 精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)
③ 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
④ 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
⑤ 個の侵害(私的なことに過度に立入ること)
⑥ 過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
の6つです。
何となく問題がありそうな内容が並んでいますが、通常、これだけ聞いても具体的にどのような場合にパワハラになり、具体的にどのように指導していけば良いのかはわかりません。
五. 会社がパワハラに対処しなかった場合のリスクが非常に高まっている以上、具体的にどのような場合にパワハラになるのか、どのような指導をしていけばよいのか、ということは顧問弁護士にしっかりと確認していく必要があります。
また、会社にはパワハラを防止するために策を講じる義務がありますから、弁護士にハラスメント研修の講師をしてもらい、管理職に正確な認識を持ってもらうということも重要です。
残念なことに既にパワハラの被害申告を受けてしまった場合には、当該行為が本当にパワハラなのかをしっかり調査した上で、適切な対応を行う必要があります。
冒頭でも述べましたが、パワハラを甘く見ると、会社が損害賠償義務を負うだけでなく、信用力も失墜し、とんでもない目に遭ってしまいます。
六. 当事務所は、顧問会社の実態に合わせ、顧問会社に出向いてハラスメント研修の講師を行ったり、パワハラの被害申告を受けた場合にも本当にパワハラなのかをしっかり調査確認した上で様々な対応を行なったりしております。
会社においてパワハラに関するリスクが非常に高まっていることを理解して頂き、一度当事務所に御相談頂けると幸いです。